Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





IA




「幼い頃、この山でわたくしは獣に襲われました」

(お母様が幼い頃に? でもそれになんの関係があるの?)


 突然語り出す美都子に、みのりは目を白黒させた。

しかし、母はこちらに構うことなく話を続ける。


「先々代からは無闇に近づいたせいだと叱られ、わたくしは

気づいたのです。

一定の距離を保ち、管理することこそがお互いの幸せになると」

「ですがそれは!」


 涼介が言葉を挟んだ。

飛躍しすぎの暴論だと言いたかったのだろう。

彼が口を挟まなければ自分が遮っていたはずだ。

だが、美都子は涼介の声など聞こえていないかのように声を張る。


「みのり!」


 微かに潤んだ瞳で名前を呼ばれ、みのりは息を呑む。


(な、なんなの……)

「小さかったからあなたは覚えていないかもしれないけれど、

あなただって襲われたことがあるのよ!」


 予想外のことを言われ、みのりはぱちりと瞬く。その隣で涼介の

驚く声が聞こえてくる。


「え?!」

「みのり様が?」


 四方から視線を感じ、みのりは知らないと首を横へ振った。










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