Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
ID
「俺もそう思います」
涼介はみのりの言葉に同意した。
だが、美都子の気持ちは容易には動かせないようだ。
「今のわたくしには雪姫様のお姿は見えません。
たとえ見えたとしてもそんな甘い考えを認めることはできません。
人間同士だってまともに分かり合えないのですよ」
美都子は駄々っ子を諭すような口調でみのりへ語りかける。
(みのりさん、負けるなよ!)
隣で見守ることしかできないことが歯がゆくてたまらない。
しかし、これは自分でも他の誰かでもない、みのり自身の闘いだ。
(俺がでしゃばっちゃ意味がない)
待つんだ、と涼介は言い聞かせる。
みのりを信じて待つこと。
自分が雅秋と対峙した時、彼女がそうしてくれていたように。
(大丈夫。みのりさんならやれる)
拳を握り締めていると、みのりがゆっくりと口を開いた。
「そんなことお母様と対峙することができない私が一番よくわかっています」
「みのり何を……」
美都子が眉間の皺をさらに深くする。
みのりは彼女の母親をまっすぐに見て言葉を続けた。
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