Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CIB




「じゃ、じゃあ、室長が言ってたもう1人の盗聴器を仕掛けた

協力者って!」

「俺ですね」

「そんな……」


 横澤の間髪入れない返答に、小越が両手で口元を押さえ固まった。

そこへ野木崎が彼女の背中をさすりながら、優しく語りかける。


「えーっと、つまりこの先生は、実は先生じゃなくて都の人で

高松って人の仲間ってこと? しかも麻里さんよりも優秀な」

「……そ、そういうことに……なります……ね……」


 小越が小さく声を震わせた。

野木崎は小越を慰めたかったのだろうか、それとも追い打ちを

かけたかったのだろうか。

みのりが野木崎の言動を訝しく思っていると、芽衣子の声に

思考が中断する。


「飛田君? この方お知り合い?」

「うん。従弟なんだ。

同じ日に生まれて、名前も漢字が一緒なんだよ。

あっちはただしって名前だけど」

「従弟さん! は、初めまして! 山波芽衣子です!」


 山波の背で見えにくいが芽衣子が飛田の従弟、正志(ただし)へ

頭を下げていた。それにつられたのだろう。正志と言う獣人も

頭へ手を当てお辞儀をしていする。


「ど、どうも……

って! そうじゃねえ! 正志! お前正気か!?」

「え? 何が?」


 唾を飛ばす勢いで詰め寄ってくる従弟に飛田は頭を横へ倒した。










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