Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
CIH
(紅、碧がもう一人の狸をやっつけるまでの間だけでいいから
持ちこたえて!)
みのりは、猪の獣人と見つめ合ったまま動く気配のない紅へ
心の中で語りかけた。
固唾を呑んで紅を見守っているとふいに、青いTシャツを着た
狸の裏返った声が聞こえてくる。
「く、来るな! 撃つぞ!」
狸は両手で銃を持ち、それを見せつけるように揺らしていた。
しかし碧は歩を止める気がないらしい。ゆっくりと、だが確実に
距離を縮めながら挑発するような言葉を発する。
「お待たせいたしました。あなたの相手をしてあげましょう」
「ほ、本当に撃つからな! 次は当てる!」
「おやおや、震えていらっしゃるのですか?
それでは当たりませんよ!」
碧がくすりと小さく笑う。と同時に、銃を持っている狸の手を
踏みつけるように蹴った。狸がバランスを崩す。だがそれは碧に
とって狙いどおりだったのだろう。横へ倒れそうになる狸を今度は
逆足の踵で蹴っていた。
「うわ!」
流れるような碧の攻撃に狸はなすすべもなく、狸は顔を地面に
打ちつけた。
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