Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
EID
みのりが山波と太一の会話を微笑ましく思いながら聞いていると、
おもむろに満が口を開く。
「お前は高松が人間だってわかってるのに信頼したんだろう。
俺と同じだ。俺だって麻里が人間だってわかってる。
それでも好きなんだ。
人間だからって理由だけで嫌いになれたらどれだけ楽だったかって
柄にもなく悩んだくらいに、俺は麻里が好きなんだ」
横澤へ語りかけるように話していた満の顔が、隣に小越へと
移った。
(私が涼介を好きだって認めたときと全然違うのね……)
小越への気持ちを認めるまでの間、どれだけの葛藤があった
だろうか。みのりは胸が切なくなった。
(横澤先生も同じ気持ちだったのかしら?)
満のために、人間である高松に力を借りようとした。
恋とは違うが、根幹部分だけを考えるならば満と横澤の辿って
きた道は同じように思える。
彼もそのことに気づいたのかもしれない。横澤が呆然と呟く。
「……人間だと知っていても、好き……」
「満さん……。私も。私もです!」
横澤のことなど見えていないかのように、小越が顔を真っ赤に
染め告白する。満は嬉しそうに口角をあげた。
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