Gold Plum

第六章


対峙


〜みのり＆涼介の場合〜


六


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「それはそうだけど……」


　小越の反論に野木崎が一瞬たじろいだ。だがすぐさま両手で×を

作り、首を横へ振る。


「でも、ダメよ。相手を落ち着かせてからじゃないと」

「落ち着かせる……そんなのどうやって……」

（たしかに先生の言う通りよね）


　みのりは小越たちの会話を聞きながら眉間に皺を寄せた。

「あわわわわわわ……」


　突然の頓狂な声に顔を向けると、飛田の従兄弟が慌てた様子で

頭を押さえていた。頭上に置かれた指の隙間からは、少しだけ伸び

始めた角が見え隠れしている。


（やっぱり飛田さんの従兄弟ね。慌てると角が出るところなんて

そっくりだわ）


　みのりは飛田たちの共通点に若干内心で苦笑しながら正志を

眺めた。正志の慌てぶりに芽衣子が口を開く。


「みんな混乱しちゃってるし、このままじゃ……。

そ、そうだ！　警察に連絡、とかどうかな？」


　バシンっという小気味の良い音に、みのりは目を瞠った。

芽衣子が飛田の背中を叩いたようだ。


「う、うん。いいかもしれないね」


　飛田が芽衣子と従兄弟の顔を交互に見ながら頷いた。