Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
七
IB
「やめて!
呪縛にとらわれているのはあなただけです、高松さん!」
みのりは、高松の暴挙を止めようと声を張った。
だが、高松がそれを素直に受け入れることはなかった。
むしろ、火に油を注いでしまったらしい。
こめかみに血管を浮き出し、睨みつけてくる。
「この後に及んで世迷い言を言うな!」
高松が何かを言うたびに、美都子の袖を赤く染める範囲が
広がっていく。
(お母様の手が……)
みのりは手を伸ばした。しかし、自分を守るように涼介が
立っているため美都子の元まで届かない。みのりは歯噛みした。
(誰か高松さんを止めて!)
みのりの願いが天に届いたのか。市長が高松の肩を掴んだ。
「いや、ここはみのり様が正しい。分かるだろう? 高松」
「どけ!!」
高松は、けんもほろろに市長を突き飛ばした。
そのせいで握っているナイフが動いたのだろう。
美都子が顔をしかめる。
「あなたは自分で不幸を黄金梅のせいにしているだけでしょう」
みのりは、たたらを踏む市長を睨みつけている高松の意識を
自分へ向けさせた。
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