Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





IB




「やめて!

呪縛にとらわれているのはあなただけです、高松さん!」


 みのりは、高松の暴挙を止めようと声を張った。

だが、高松がそれを素直に受け入れることはなかった。

むしろ、火に油を注いでしまったらしい。

こめかみに血管を浮き出し、睨みつけてくる。


「この後に及んで世迷い言を言うな!」


 高松が何かを言うたびに、美都子の袖を赤く染める範囲が

広がっていく。


(お母様の手が……)


 みのりは手を伸ばした。しかし、自分を守るように涼介が

立っているため美都子の元まで届かない。みのりは歯噛みした。


(誰か高松さんを止めて!)


 みのりの願いが天に届いたのか。市長が高松の肩を掴んだ。


「いや、ここはみのり様が正しい。分かるだろう? 高松」

「どけ!!」


 高松は、けんもほろろに市長を突き飛ばした。

そのせいで握っているナイフが動いたのだろう。

美都子が顔をしかめる。


「あなたは自分で不幸を黄金梅のせいにしているだけでしょう」


 みのりは、たたらを踏む市長を睨みつけている高松の意識を

自分へ向けさせた。










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