Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
七
IE
高松の戦意喪失に、涼介がすぐさま動く。
「美都子様、そのまま刃物を握っていてください。
誰か止血できる人はいますか?」
言うや、涼介は美都子を補助するように腕を支えた。
そして格子柄のハンカチを取り出し地面に敷くと、
美都子をゆっくりと座らせた。
そこへ野木崎が黒い水玉柄のハンカチを手に近づいてくる。
「こ、これ使って!」
「野木崎さん、ありがとうございます。お借りしますね。
碧、お願い」
みのりは野木崎からハンカチを受け取り、碧を見た。
こういうときに頼りになる男だ。目が合うと、碧が首肯してくる。
「市長殿。大丈夫だと思いますが、この獣人たちを
見張っていてくださいませんか?」
碧の頼みに、高松を気遣わしげに見ていた市長の顔があがる。
「わかった」
市長と持ち場を交代するや、碧は小走りでやって来た。
みのりは野木崎から借りたハンカチを碧へと渡す。
「美都子様、失礼しますね」
「えぇ、よろしく頼むわ」
美都子が青白い顔で頭を下げる。
みのりは、ハンカチを駆使して止血を始める碧の手さばきを
黙って見つめた。
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