Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





IF




「碧、お母様のことお願いね。紅はそちらの獣人たちを見ててね」

「かしこまりました」

「はい」


 みのりの指示に碧と紅が恭しく応じる。


「梅畑市長は引き続き、高松さんのことをよろしくお願いします」

「かしこまりました」


 視線を送られ、雅秋もかしこまった。


「もう一度、挑戦するんだね」


 話しかけると、みのりが事もなげに首を縦に振る。


「そうよ。涼介もさっきので果汁をこぼしてしまったでしょう?」

「ああ」


 その通りだ、と涼介は返答する。

 同時に、野木崎が小越を諫める声が聞こえてきた。


「もう一度、雪姫様に踊ってもらうみたいね。

って、麻里さん、満君ばっかり見てないでちゃんと話しに参加してないと」

「あ、はい! すみません! 満さん、そんなわけでお話はまたあとで」


 小越の言葉に満が彼女の頬を優しく撫でる。


「わかった。ちゃんと見てるから安心しろ」

「満さん……」


 ぽーっと満を見遣る小越に対し微笑む満。

だがその後、すぐに佇んでいる獣人二人へ鋭い声を放った。


「横澤! 正志(ただし)! ここで待機だ。いいな」


 地面を指さす満を前に、正志(ただし)が地面に正座する。


「は、はい! 長!」

「承知いたしました」


 横澤も正志に倣ったが、鹿の彼とは違い落ち着いた物腰でその場に座した。


「おじちゃん、もう一回雪姫様の踊りが見られるんだって」


 太一の興奮した声が聞こえてくる。

視線を移すと、山波が感慨深げに頷くのが見えた。


「ああ、そうだな。俺たちのも色々あってこぼれちまってるからなあ」


 ぽりぽりと頬を掻く山波の言葉に、太一が慌てて手に持っていた盃を見遣った。










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