Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
七
IF
「碧、お母様のことお願いね。紅はそちらの獣人たちを見ててね」
「かしこまりました」
「はい」
みのりの指示に碧と紅が恭しく応じる。
「梅畑市長は引き続き、高松さんのことをよろしくお願いします」
「かしこまりました」
視線を送られ、雅秋もかしこまった。
「もう一度、挑戦するんだね」
話しかけると、みのりが事もなげに首を縦に振る。
「そうよ。涼介もさっきので果汁をこぼしてしまったでしょう?」
「ああ」
その通りだ、と涼介は返答する。
同時に、野木崎が小越を諫める声が聞こえてきた。
「もう一度、雪姫様に踊ってもらうみたいね。
って、麻里さん、満君ばっかり見てないでちゃんと話しに参加してないと」
「あ、はい! すみません! 満さん、そんなわけでお話はまたあとで」
小越の言葉に満が彼女の頬を優しく撫でる。
「わかった。ちゃんと見てるから安心しろ」
「満さん……」
ぽーっと満を見遣る小越に対し微笑む満。
だがその後、すぐに佇んでいる獣人二人へ鋭い声を放った。
「横澤! 正志(ただし)! ここで待機だ。いいな」
地面を指さす満を前に、正志(ただし)が地面に正座する。
「は、はい! 長!」
「承知いたしました」
横澤も正志に倣ったが、鹿の彼とは違い落ち着いた物腰でその場に座した。
「おじちゃん、もう一回雪姫様の踊りが見られるんだって」
太一の興奮した声が聞こえてくる。
視線を移すと、山波が感慨深げに頷くのが見えた。
「ああ、そうだな。俺たちのも色々あってこぼれちまってるからなあ」
ぽりぽりと頬を掻く山波の言葉に、太一が慌てて手に持っていた盃を見遣った。
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