Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
七
BIB
「早送りしてみてるみたい」
梅の花は咲いた。だが、咲いた瞬間に散った。
「思った以上に早く散っちゃったな……」
まるで夢を見ているようだと呟くと、みのりが黄金梅を指さした。
「見て、あそこだけ実が」
指が指し示す方向に目をやる。
そこには、ラグビーボールほどの実がなっていた。
「本当だ。本当に黄金色に輝いてる」
昔話にあった通りの光景に、目をしばたたく。
「黄金梅って本当にあったのね……」
呟く野木崎に無言のまま頷くと、横で太一が飛び上がった。
「すごーい! 絵本と一緒だ」
「すごいもんだなあ、おい……」
山波が唸る声と混ざるようにして、みのりが振り向いた。
「これって成功したってことでいいのかしら?」
見つめられ、涼介は首を縦に振る。
「多分……。何も変わった様子は……ないみたいだけど……ね」
大きな実がなったことはそれなりに事件だが、でもそれだけだ。
自分にも他のみんなにも、
何か変わったことが起こったようには感じられなかった。
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