Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





BIB




「早送りしてみてるみたい」


梅の花は咲いた。だが、咲いた瞬間に散った。


「思った以上に早く散っちゃったな……」


 まるで夢を見ているようだと呟くと、みのりが黄金梅を指さした。


「見て、あそこだけ実が」


 指が指し示す方向に目をやる。

そこには、ラグビーボールほどの実がなっていた。


「本当だ。本当に黄金色に輝いてる」


 昔話にあった通りの光景に、目をしばたたく。


「黄金梅って本当にあったのね……」


 呟く野木崎に無言のまま頷くと、横で太一が飛び上がった。


「すごーい! 絵本と一緒だ」

「すごいもんだなあ、おい……」


 山波が唸る声と混ざるようにして、みのりが振り向いた。


「これって成功したってことでいいのかしら?」


 見つめられ、涼介は首を縦に振る。


「多分……。何も変わった様子は……ないみたいだけど……ね」


 大きな実がなったことはそれなりに事件だが、でもそれだけだ。

自分にも他のみんなにも、

何か変わったことが起こったようには感じられなかった。










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