Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





BIF




「雪姫様……」


 涼介が雪姫へ腕を伸ばした。だがそこに雪姫の姿はなかった。

 みのりが何も言えず口ごもっていると、太一が呆然としながら呟く。


「雪姫様、消えちゃった……」


 突然のことすぎて、まだ実感がわかないのだろう。

自分も同じ気持ちだ。

雪姫の名を呼べば、ケラケラと楽しそうに笑いながら現れるのでは

ないだろうか。あり得ないとは思っていても、そんな淡い期待すら

抱いてしまう。もちろんそんな奇跡のようなことは起こらなかった。

静寂が辺りを包む中、誰よりも早く現実を受け入れたらしい山波が

太一の頭へ手を置く。


「眠ってるだけだ。消えたわけじゃねえよ」

「で、でもぉー」


 山波の言葉に雪姫がいないことを受け入れたのだろう。

太一がポロポロと滴のような涙をこぼした。

沈痛な面持ちで野木崎が太一のそばへ近づく。


「太一君……」


 野木崎が少年の頬を手で拭っても、涙は一向にとまる気配を

見せなかった。

これ以上、太一を見ていると自分ももらい泣きをしてしまいそうだ。

みのりは唇を引き結びながら、視線を逸らした。










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