Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
七
BIG
「太一君。お祖母さんとの約束、花を見せてあげるんだろ?
だったら顔をあげなくちゃだめだ」
きっぱりと言い切る涼介の言葉にみのりは目を瞠った。
今まで涼介が、太一に対してそんな風に言ったことはないはずだ。
その涼介からまさかあのような口調の言葉を聞くとは思っていな
かった。だが、それも青年なりの優しさなのかもしれない。
太一の気持ちがわかるからこその叱咤だったのだろう。
太一にも涼介の気遣いは伝わっているみたいだ。
「ひっぐ、う、うん」
「太一君……」
小越が、ゴシゴシと涙を拭う太一の姿に感動していた。
みのりはその間に、地面に散っていた梅の花を拾い集める。
見える範囲をすべて集め終えると、両手を覆うくらいになった。
「太一君、これくらいで大丈夫かしら?」
「みのり様、あじがどぉ」
泣いたあと特有の鼻声で礼を言いながら太一がリュックから
袋を取り出した。みのりは口を開いた袋の中へ、花びらを落とす。
「よかったな、太一君」
「……ぅん」
涼介が太一の頭に手を置きそっと体に寄せると、太一は小さく
頷いた。泣くのをこらえているのだろうか。俯いたままでいる
太一の元へ美都子が歩み寄った。
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