Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





BIG




「太一君。お祖母さんとの約束、花を見せてあげるんだろ?

だったら顔をあげなくちゃだめだ」


 きっぱりと言い切る涼介の言葉にみのりは目を瞠った。

今まで涼介が、太一に対してそんな風に言ったことはないはずだ。

その涼介からまさかあのような口調の言葉を聞くとは思っていな

かった。だが、それも青年なりの優しさなのかもしれない。

太一の気持ちがわかるからこその叱咤だったのだろう。

太一にも涼介の気遣いは伝わっているみたいだ。


「ひっぐ、う、うん」

「太一君……」


 小越が、ゴシゴシと涙を拭う太一の姿に感動していた。

みのりはその間に、地面に散っていた梅の花を拾い集める。

見える範囲をすべて集め終えると、両手を覆うくらいになった。


「太一君、これくらいで大丈夫かしら?」

「みのり様、あじがどぉ」


 泣いたあと特有の鼻声で礼を言いながら太一がリュックから

袋を取り出した。みのりは口を開いた袋の中へ、花びらを落とす。


「よかったな、太一君」

「……ぅん」


 涼介が太一の頭に手を置きそっと体に寄せると、太一は小さく

頷いた。泣くのをこらえているのだろうか。俯いたままでいる

太一の元へ美都子が歩み寄った。










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