Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





BIH




「太一君と言ったかしら?

わたくしには雪姫様が見えていなかったけれど、

雪姫様がいるのはわかっていたわ。

今は、あなたも見えなくなってしまったけれど、それだけよ。

雪姫様はちゃんとあなたのことを見ているわ」

「お母様」


 みのりは、優しく太一へ語りかける美都子の言葉に胸を震わせた。

本当にその通りだ。


(やっぱりお母様はすごい人だわ)


 いつか自分もこんな女性になりたい。みのりが羨望の眼差しを

送っていると、美都子がこちらへ顔を向ける。


「あなたたちもですよ。

たとえ姿が見えなくても、雪姫様はいつだってわたくしたちを

見守ってくださっているのですよ」


 美都子の喝に、みのりは背筋を伸ばした。

これが統率者の威厳というものなのだろうか。

美都子が見回す先々で、みんな同じような表情で姿勢を正していた。


「美都子様……」

「さすがご当主様だわ」

「そう……ですね。はい! そうですよね!」

「美都子様……!」


 涼介を皮切りに、野木崎と小越、そして山波が感嘆の声をあげた。

みのりも美都子へ声をかける。


「お母様、ありがとう」


 その反応に美都子も満足したのだろう。口元を微かに綻ばせ、

首肯した。










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