Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


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「はぁ？　私は既婚者ですけど？　ていうか麻里さんは友達って言ってますよね？

いやそもそも満君とは友人ではないですけどね」


　律子の台詞に麻里は瞳を見開く。


（ええ？！　満さんと友達じゃないの？！）


　どうしてそんなことを言うのだろう。

急いで律子へ目をやるが、先に獣人たちの怒りが頂点に達してしまったらしい。


「ええい！　面倒臭え！　お前たち２人とも今すぐあの世に送ってやる！」


　ためらいもなく銃口を向けてくる獣人に対し、律子が身構える。


「え、ちょ、なんでよ！　まずは話し合いからでしょう！」


　両手で制止を促す律子を前に獣人たちが無言でトリガーへ指をかけた。


「危ない！　律子さん！」


　叫んで咄嗟に律子の前へ出る。


「麻里さん！」


　悲鳴に似た声を聞きながら、麻里は律子の全身を背中で庇った。


（どうしてこんなことに！）


　自分が律子を巻き込んでしまったのだろうか。

そうだとしたら、これはその報いだ。

覚悟を決めた時、凛とした声が響いた。


「お前たち！　何してやがる！」


　知らず閉ざしていた瞳を開けると、目の前に大きな背中があった。


「お、長！」

「満様！」


　目に見えてうろたえた獣人たちに呼応して、律子がゆっくりと顔をあげる。


「あらー。ヒーローのお出ましね。よかったわね麻里さん」


　自分が死にそうになっていたのに、

そんなことを気にしたふうもなく律子が笑いかけてくる。


「は、え、は、はい……」


　いきなり話を振られ、沸騰しそうな顔を隠すのが精いっぱいだった。