Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





ID




「すみません!」


 涼介は勢いよく手を挙げる。

すぐに女性店員が近づいてきて、注文端末をだした。


「はい。お待たせいたしました」

「バニラアイスを一つお願いします」


 一つだと変に思うかな、などと内心ちらりと懸念しながら頼む。

だが、店員は特に気にした様子もなく注文を繰り返した。


「バニラアイスお一つですね。かしこまりました」


 一礼して去って行く女性店員をなんとなく眺める。

すると、みのりが手を振ってきた。


「見て、紅ったらあんな大きなパフェを食べてるわ」


 小さく指で指し示す方向には、1人で食べるには

少しばかり大きいのでは、と思えるほどのパフェを頬張る

紅の姿があった。

イチゴとアイスと生クリームが乗っているそのパフェを見て、

涼介はふと不安になる。


「本当だ。あっちのほうがよかった?」


 尋ねると、みのりがすぐにかぶりを振る。


「ううん。私はバニラアイスがいいから」

「そうか。ならよかった」


 安心して背もたれに寄りかかると、みのりが不思議な微笑を湛えた。










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