Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
六
ID
「すみません!」
涼介は勢いよく手を挙げる。
すぐに女性店員が近づいてきて、注文端末をだした。
「はい。お待たせいたしました」
「バニラアイスを一つお願いします」
一つだと変に思うかな、などと内心ちらりと懸念しながら頼む。
だが、店員は特に気にした様子もなく注文を繰り返した。
「バニラアイスお一つですね。かしこまりました」
一礼して去って行く女性店員をなんとなく眺める。
すると、みのりが手を振ってきた。
「見て、紅ったらあんな大きなパフェを食べてるわ」
小さく指で指し示す方向には、1人で食べるには
少しばかり大きいのでは、と思えるほどのパフェを頬張る
紅の姿があった。
イチゴとアイスと生クリームが乗っているそのパフェを見て、
涼介はふと不安になる。
「本当だ。あっちのほうがよかった?」
尋ねると、みのりがすぐにかぶりを振る。
「ううん。私はバニラアイスがいいから」
「そうか。ならよかった」
安心して背もたれに寄りかかると、みのりが不思議な微笑を湛えた。
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