Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
一
I@
「紅に自分の気持ちを打ち明けてないのに、涼介に伝えるのは
何だか嫌だったから」
「ええっと……」
涼介が割って入ろうとしてくるが、無視して話を続ける。
「だから2人がいるときに、私の気持ちを伝えたかったの」
「そ、そう……」
曖昧に頷く涼介に内心で首をかしげていると、
今まで黙り込んでいた紅が口を開く。
「お嬢さま」
「ずっと黙っててごめんなさい」
みのりは紅に何か言われる前に、再度頭を下げた。
彼女から非難の言葉を聞くことが恐かった。
卑怯なことをしているとわかっている。それでも許してほしかった。
みのりは滲み始めた涙を堪えようと、唇を噛みしめる。
「みのりさん……」
気遣うように涼介から名を呼ばれ、みのりは顔をあげた。
心配そうに見てくる涼介に、胸が締めつけられる。
(紅、ごめん)
一方的ではあるが紅へのケジメはつけた。
もう一度、涼介に告白の返事をしよう。
みのりは小さく呼吸を整え、真っ直ぐ彼を見つめる。
「涼介。私はあなたのことが好きです」
「ありがとう。本当に嬉しいよ。ありがとう、みのりさん」
涼介がくしゃっと柔らかく笑った。そして、こちらへ近づき
手を取られる。
涼介の手は、冷え切った指先を溶かすような暖かさだった。
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