Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





A




「涼介! あの、急に呼び出しちゃってごめんなさい」


 護衛の紅を伴い小走りでやってきたみのりに、笑みがこぼれる。

急いで来てくれたことが嬉しい。

相好が崩れるのをなんとか抑える。

なるべく平静を装い、かぶりを振った。


「いや、いいよ。それよりどこに行く? カフェテリアにでも行こうか?」


 親指でキャンパスを指すと、みのりがいきなりもじもじし始めた。


「え、えっと、できれば、その……」

「ん? 遠慮することないよ。俺は会えただけで嬉しいし……」


 俯き加減になったみのりの表情を窺おうと顔を覗き込む。

みのりは頬をほんのり赤く染めながら視線を逸らした。


「遠慮ってわけじゃないんだけど……だ、大学って建物以外にも

色々あるのね」


 視線を周囲へと向けるみのりの真意を測りかね、

さらに顔を近づけた時だ。


「近い」


 小さな手に遮られ、ぐいっとみのりとの間をむりやり開けられてしまった。

よく見るまでもなく、邪魔をしてきたのは紅だった。

邪な心を読まれてしまったのだろうか。

涼介は頬を掻き、咳払いをする。


「ええっと……。じゃ、じゃあ、裏庭にでも行こうか。

池があるんだけど、人もめったに来ないしね」


 提案したと同時に、斜め後ろから声がかかった。










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