Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





D




「はい。あのお父様、その箱はもしかして?」


 みのりは忠臣が持つ盆の中央に、ぽつんと置かれている小さな箱へ

目を向けた。忠臣が頷きながら、お盆をわずかに持ちあげる。


「先日、みのりたちが実らせた黄金梅の種だよ」

「運良く1つだけ地面に残ったでしょう。

ですから宝物庫へ収めるところなのですよ」


 あのとき、黄金梅の実が熟すと再び光に包まれた。

黄金梅を覆いつくした光は無数に枝分かれし、方々へ放射された。

そのうちの1つが種となって残ったのだろう。

みのりが美都子の言葉に、黄金梅を実らせた日のことを

振り返っていると、忠臣が肩を竦めて見せる。


「どこかの誰かさんが持っていってしまったからね」

「うっ、その節は……申しわけ」


 みのりは言葉を詰まらせながら頭を下げた。

しかし、それを美都子が制する。


「良いのよ、みのり。謝る必要はないわ。

忠臣さんはあなたをからかっているだけなのですから」


 美都子が忠臣の肩に手を置く。忠臣が嬉しそうに笑った。


「ハハハ、美都子さんにはかなわないなー。

すまなかったね、みのり」

「は、はい」


 みのりは忠臣からのからかいに戸惑いながらも、

胸をなで下ろした。










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