Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
二
D
「はい。あのお父様、その箱はもしかして?」
みのりは忠臣が持つ盆の中央に、ぽつんと置かれている小さな箱へ
目を向けた。忠臣が頷きながら、お盆をわずかに持ちあげる。
「先日、みのりたちが実らせた黄金梅の種だよ」
「運良く1つだけ地面に残ったでしょう。
ですから宝物庫へ収めるところなのですよ」
あのとき、黄金梅の実が熟すと再び光に包まれた。
黄金梅を覆いつくした光は無数に枝分かれし、方々へ放射された。
そのうちの1つが種となって残ったのだろう。
みのりが美都子の言葉に、黄金梅を実らせた日のことを
振り返っていると、忠臣が肩を竦めて見せる。
「どこかの誰かさんが持っていってしまったからね」
「うっ、その節は……申しわけ」
みのりは言葉を詰まらせながら頭を下げた。
しかし、それを美都子が制する。
「良いのよ、みのり。謝る必要はないわ。
忠臣さんはあなたをからかっているだけなのですから」
美都子が忠臣の肩に手を置く。忠臣が嬉しそうに笑った。
「ハハハ、美都子さんにはかなわないなー。
すまなかったね、みのり」
「は、はい」
みのりは忠臣からのからかいに戸惑いながらも、
胸をなで下ろした。
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