Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
二
G
「はあ」
「ちょっと忠臣さん、わたくしは行くとは」
「それじゃ、美都子さん急いで行ってきますからね」
困惑気味な忠信と慌てふためく美都子をよそに忠臣は
颯爽と去って行った。
「お父様ってあんな人だったかしら?」
見たことのない父の姿に呆気にとられていると、
兄がくすりと肩を揺らす。
「これもみのりたちが黄金梅で願ってくれたおかげじゃないかな」
「そうね。
こんな風にわたくしたち家族が話せるようになったのは、
みのりが頑張ってくれたおかげですね」
美都子は忠信に賛同すると、優しく微笑んだ。
そしてそっと頭をなでてくる。
「お母様」
決して心地が悪いわけではない。むしろ心地良いとさえ思う。
それなのになんだかムズムズして逃げたくなるのはなぜだろう。
みのりは鬘をずらさないように気遣いながらなでる母の手の
感触を、目をつむって堪能した。
「さてっと、それじゃ、お母様。
お父様が戻ってくるまで、あちらお話をよろしいですか?」
「わかりました」
兄の声とともに母の手が止まる。
少しだけ残念に思いながらもみのりは、ではね、と移動する
美都子たちを見て玄関へ向かった。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|