Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





G




「はあ」

「ちょっと忠臣さん、わたくしは行くとは」

「それじゃ、美都子さん急いで行ってきますからね」


 困惑気味な忠信と慌てふためく美都子をよそに忠臣は

颯爽と去って行った。


「お父様ってあんな人だったかしら?」


 見たことのない父の姿に呆気にとられていると、

兄がくすりと肩を揺らす。


「これもみのりたちが黄金梅で願ってくれたおかげじゃないかな」

「そうね。

こんな風にわたくしたち家族が話せるようになったのは、

みのりが頑張ってくれたおかげですね」


 美都子は忠信に賛同すると、優しく微笑んだ。

そしてそっと頭をなでてくる。


「お母様」


 決して心地が悪いわけではない。むしろ心地良いとさえ思う。

それなのになんだかムズムズして逃げたくなるのはなぜだろう。

 みのりは鬘をずらさないように気遣いながらなでる母の手の

感触を、目をつむって堪能した。


「さてっと、それじゃ、お母様。

お父様が戻ってくるまで、あちらお話をよろしいですか?」

「わかりました」


 兄の声とともに母の手が止まる。

少しだけ残念に思いながらもみのりは、ではね、と移動する

美都子たちを見て玄関へ向かった。










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