Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
三
@
碧の運転で果杷駅まで行くと、ロータリーはバスやタクシーで
いっぱいだった。
「碧、ここでおろして」
「よろしいんですか?」
「えぇ。すぐそこだから」
みのりは路肩に停車するや、扉を開けた。
一緒に降りてこようとする紅を静止する。
「紅はここで待ってて」
「でも」
「すぐに涼介を連れてくるから。じゃあ、行ってくるわね」
みのりは紅の返事を待たずに歩き出した。
はやる気持ちに、歩く速度が上がって行く。
行き交う人の間を縫うように先へ進むと、涼介の後ろ姿が
目に入る。みのりは青年の元へ小走りで近づいた。
「もう、なんでまだいるんだよ。
郵便局はあっちだし、本局だって向こうじゃないか」
「まあまあ。いいじゃないか。そんなに急いでないんだから」
「涼介! ごめんなさい! 待った?」
息を整えつつ名前を呼ぶと、涼介が振り返った。
「みのりさん! いや、今来たところだから。
――そういう服装初めてだね。よく似合ってる」
涼介が襟足をなでながら見てくる。
みのりは涼介の褒め言葉に照れながら、彼を見つめ返した。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|