Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





I




 涼介と手を繋ぐのは初めてではないけれど、やっぱりまだ恥ずかしい。

いつか当たり前に思う日がくるのだろうか。

みのりは顔を俯かせ、涼介の暖かい手に引かれながら石畳を歩く。

 藤丘は駅からすぐの場所に建っており、通路でつながっている。

みのりたちは階段を上って藤丘へ向かった。すると、急に涼介が

立ち止まる。


「あ、すみません」

「あらやだ! 梅畑君とみのり様じゃない!」

「は、え? 野木崎さん!」

「え、野木崎さん?」


 涼介の声に顔を覗かせると、そこには目を丸くした野木崎が

立っていた。みのりはぺこりと頭を下げる。


「あ、こんにちは」

「こんにちは。やだ、もしかしてデート?」


 野木崎は繋がったままの手を凝視していた。これでは否定した

ところで信じてもらえないだろう。


「へ、いや、あの……」


 言葉を濁らせると涼介が嬉し気に微笑む。


「ええ、まあ……」

(これってやっぱりデートだったんだ……)


 涼介の肯定に、みのりは顔が熱くなった。

そんな自分たちを見て、野木崎が顔をにやつかせた。










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