Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
三
I
涼介と手を繋ぐのは初めてではないけれど、やっぱりまだ恥ずかしい。
いつか当たり前に思う日がくるのだろうか。
みのりは顔を俯かせ、涼介の暖かい手に引かれながら石畳を歩く。
藤丘は駅からすぐの場所に建っており、通路でつながっている。
みのりたちは階段を上って藤丘へ向かった。すると、急に涼介が
立ち止まる。
「あ、すみません」
「あらやだ! 梅畑君とみのり様じゃない!」
「は、え? 野木崎さん!」
「え、野木崎さん?」
涼介の声に顔を覗かせると、そこには目を丸くした野木崎が
立っていた。みのりはぺこりと頭を下げる。
「あ、こんにちは」
「こんにちは。やだ、もしかしてデート?」
野木崎は繋がったままの手を凝視していた。これでは否定した
ところで信じてもらえないだろう。
「へ、いや、あの……」
言葉を濁らせると涼介が嬉し気に微笑む。
「ええ、まあ……」
(これってやっぱりデートだったんだ……)
涼介の肯定に、みのりは顔が熱くなった。
そんな自分たちを見て、野木崎が顔をにやつかせた。
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