Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
六
A
「おや、珍しいですね? どなたかハワイにでも行かれたんですか?」
碧が紅の横から山波に尋ねる。
「『黄金梅(うめ)の実を守る会』の会長が旅行から帰って参りまして。
大量にいただいたものですから」
山波が照れ笑いを浮かべながら種明かしをする。
みのりは箱を前にして、気遣わしげに山波を見た。
「いいんですか?」
「それはもう!」
山波が身を乗りだしてみのりへ告げる。
みのりが背中を軽く仰け反らせながら箱を受け取った。
そのまま箱を紅へ手渡すと、それまで黙っていた芽衣子が口を開いた。
「お父さんたら会長に大目玉食らったんですよ」
口に手をあて含み笑いでネタばらしをすると、
案の定山波が雷を落とした。
「うるさい! そもそもはお前のせいだろうが!」
「私もちゃんと謝ったじゃない」
怒号を飛ばす山波に堪えた様子もなく芽衣子が肩を竦める。
(ん? 芽衣子さんが何かしたのか?)
そう言えば山波が種を手に入れた敬意を知らなかったな、と
涼介はぼんやりと考えた。
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