Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





A




「おや、珍しいですね? どなたかハワイにでも行かれたんですか?」


 碧が紅の横から山波に尋ねる。


「『黄金梅(うめ)の実を守る会』の会長が旅行から帰って参りまして。

大量にいただいたものですから」


 山波が照れ笑いを浮かべながら種明かしをする。

みのりは箱を前にして、気遣わしげに山波を見た。


「いいんですか?」

「それはもう!」


 山波が身を乗りだしてみのりへ告げる。

みのりが背中を軽く仰け反らせながら箱を受け取った。

そのまま箱を紅へ手渡すと、それまで黙っていた芽衣子が口を開いた。


「お父さんたら会長に大目玉食らったんですよ」


 口に手をあて含み笑いでネタばらしをすると、

案の定山波が雷を落とした。


「うるさい! そもそもはお前のせいだろうが!」

「私もちゃんと謝ったじゃない」


 怒号を飛ばす山波に堪えた様子もなく芽衣子が肩を竦める。


(ん? 芽衣子さんが何かしたのか?)


 そう言えば山波が種を手に入れた敬意を知らなかったな、と

涼介はぼんやりと考えた。










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