Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





E




「じゃあ、そろそろ行こうか? みのりさん」


 涼介がそっと手を握ってきた。

すでになじみ始めた彼の温もりをそのままに、みのりは涼介を見る。


「ええ。

山波さん。それから皆さん。本当にありがとうございました」

「ありがとうございました」


 みのりに続く形で涼介がお辞儀すると、山波が俊敏な動きを

見せる。


「は、こちらこそ、ありがとうございました」

「おじさん、いい人」

「ありがとうよ、お嬢ちゃん」


 山波が、紅の褒め言葉に照れくさそうに笑った。紅も嬉しそうだ。


(すっかり懐いているわね)


 黄金梅の恩恵を紅もちゃんと受けているらしい。

以前だったら他者と交流を持とうとしなかった。そんな彼女が

今では山波や飛田といった人たちと会話ができている。

そのことがみのりは嬉しかった。だが、碧はそうでもないようだ。

和やかな雰囲気を醸し出している山波と紅の間を裂くように

割り込んでくる。


「ごちそうまさでした」

「なんのお構いもしませんで」


 和子が顔を綻ばせ、碧を見ていた。


「それでは、失礼します」


 みのりが暇を告げると山波が直角に腰を曲げた。


「またのお越しをお待ち申し上げております」


 山波の言葉に紅がこくんと頷き、小さく手を振った。










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