Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
六
E
「じゃあ、そろそろ行こうか? みのりさん」
涼介がそっと手を握ってきた。
すでになじみ始めた彼の温もりをそのままに、みのりは涼介を見る。
「ええ。
山波さん。それから皆さん。本当にありがとうございました」
「ありがとうございました」
みのりに続く形で涼介がお辞儀すると、山波が俊敏な動きを
見せる。
「は、こちらこそ、ありがとうございました」
「おじさん、いい人」
「ありがとうよ、お嬢ちゃん」
山波が、紅の褒め言葉に照れくさそうに笑った。紅も嬉しそうだ。
(すっかり懐いているわね)
黄金梅の恩恵を紅もちゃんと受けているらしい。
以前だったら他者と交流を持とうとしなかった。そんな彼女が
今では山波や飛田といった人たちと会話ができている。
そのことがみのりは嬉しかった。だが、碧はそうでもないようだ。
和やかな雰囲気を醸し出している山波と紅の間を裂くように
割り込んでくる。
「ごちそうまさでした」
「なんのお構いもしませんで」
和子が顔を綻ばせ、碧を見ていた。
「それでは、失礼します」
みのりが暇を告げると山波が直角に腰を曲げた。
「またのお越しをお待ち申し上げております」
山波の言葉に紅がこくんと頷き、小さく手を振った。
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