Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
六
I@
「一緒にいるのってもしかして……お母様、かな?」
囁くように問いかける。
だが、答えたのはみのりではなく碧だった。
「車いすに座っている方は高松のお母様ですね」
「やっぱりそうなんですねぇ」
碧の種明かしに涼介は大きく頷く。
あれがあの時言っていた高松の母親か。
閉ざされた両目は梅宮の罪の証でもあるが、
そんな悲壮さを一切感じさせない。
ただただ穏やかな空気が流れているのが見て取れる。
母親のほうは随分白髪が目立っていたが、
すみれ色のカーデガンを羽織ったその姿は凜とした
雰囲気をまとっていた。
(見たことなかったけど、高松さんってあんな顔するんだ)
幸せそうに微笑む高松を見ながらしみじみとした気分に浸っていると、
隣にいたみのりが心から安堵したような声で告げる。
「良かった」
「うん。なんだか幸せそうだね」
同意してみのりを見遣ると、すぐに目が合う。
それがくすぐったくて微笑むと、みのりの口元も綻んだ。
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