Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
六
IA
(本当に幸せそうでよかった)
車椅子を引きながら談笑している高松親子をしばし見送っていると、
みのりが緩く背中を押してきた。
「それじゃ、中に入りましょう」
「ああ」
みのりに促され、手を繋いでファミレスへ入る。
すぐに店員が営業スマイルで迎えてくれた。
「いらっしゃいませー、トニーズへようこそ! お客様は4名様で
よろしいでしょうか?」
店員の問いに頷きかけた時だ。突然碧が店員の前へでてきた。
「大人2人、禁煙でお願いします」
「え?」
紅の手を握って微笑む碧を前に、みのりが目を瞬く。
「え? あ、はい。では、どうぞこちらへ」
店員も面食らったように戸惑いの声をあげたがすぐに立ち直り、
碧たちを席へと案内し始めた。
「さあ、紅。好きなだけ注文しなさい」
優しげな笑みで告げる碧を前に、紅はためらう。
みのりが心配なのだろう。
「でも」
言葉を濁しつつ紅がみのりを見つめる。
「いいからいいから」
何がいいのかわからないが、碧が半ば強引に紅の背中を押した。
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