スイーツ娘、村へ帰る。



第一章

1−10



「な、何この毒々しい色のクッキーは」

 微かに声を震わせるクロナに首をかしげながらも、

アローナは種明かしをする。

「スイカっていう野菜を使ったクッキーよ。

隠し味にウスターソースっていうのが入ってるの」

 自信満々に答えたのに、クロナの顔は暗いままだ。

「またなんでそんなヒドイこと……」

 脱力したようにクロナが語尾を濁す。

なかなか食べようとしてくれないクロナに、アローナは苛ついた。

「いいから食べて!」

 剛に煮やしてクッキーをクロナの口へ強引に詰め込んでやる。

「むぐっ!」

 声を詰まらせ、顔を顰めたままムグムグとクッキーを噛み砕く

クロナへ問いかけた。

「どう? おいしい?」

 かなりな自信作なのだ。

期待を込めてクロナの答えを待つと、<クロナがイルミラを振りほどいて叫んだ。

「うげー!」

 もんどりを打つクロナを見ながら、アローナは頬へ手をあてる。

「うーん、やっぱりダメか……」

 実はちらりと美味しくない可能性も考えてもいたのだ。

頬をぽりぼりとかいていると、クロナが狂ったように首を振ってくる。

「やっぱり、じゃないよ! もう嫌だ! こりごりだよ!」

 絶叫するクロナの言葉に、アローナは目を瞠った。










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