スイーツ娘、村へ帰る。



第二章





「気になるなら一度来てみて。試食会するから」

「ありがとうございます」

 我が意を得たりといった笑みを浮かべるカリナに礼を言い、

去っていく彼女を見送る。

扉を閉めながら、アローナはまだ見ぬクルミの味に思いを馳せた。

「種かあ。種って言えば、アーモンドとかを使ったお菓子があったっけ。

クッキーとかチョコとか……」

 アローナはパイ生地作りに戻りつつ、

ナッツの入ったお菓子をいくつか思い浮かべる。

だが、どれもいまいちパンチが足りない気がした。

「作ってみたいけどあれだけじゃちょっと捻りが足りないかも」

 パイ生地の上からめん棒を転がす手はとめず、一計を案じる。

「アーモンドを粉にしてクリームにしてみるとか……」

 アーモンドパウダーをクリームに混ぜたら

新しい味になるかもしれない。

そこまで考えて、あ、と小さな声をあげる。

「けど、それなら不思議堂にあるピーナッツバター

使ったほうがおいしいかも」

 あそこのピーナッツバターは程よい甘さだから、

あれを利用したほうが子供からお年寄りにまで

食べてもらえそうな気がする。

「うーん」

 腕を組み唸っていると、またしても勝手口からノックの音が響いた。










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