スイーツ娘、村へ帰る。
第一章
1−2
「さて、これをしばらく寝かせて……」
風通しのいいところへ置きアローナは満足する。_
「今日はとっておきの食材を使ったから絶対おいしいはずよー!」
キッチンを片付けながらふと従弟の姿が見当たらないことに気づいた。
「クロナはどこにいるのかしら?」
アローナは手と食器を洗ったあと、台所を出た。
スイーツ大会に優勝し、街へ通じる橋、通称「スイーツ橋」を渡って、
お菓子食べ放題の旅行券を手に入れたのは数ヶ月前のこと。
王都へ繋がる橋は通行証がない限り渡ることはできないので、
優勝した時は本当に嬉しかった。
ペアチケットなので、一緒に暮らしている従弟のクロナとともに旅へでて、
それこそスイーツ三昧の日々を送ったのだが。
時間が経つにしたがいただ食べることに飽きてしまった。
早く作りたくてたまらなくなり、
ツアーが終了し次第すぐさまお菓子作りの毎日を送っている。
「クロナー! どこー?」
アローナは声を張り上げた。
従弟のクロナは見た目のひょろさと比べ美味しい物に目のない性格だから、
アローナはいつも彼の舌を当てにしている。
「クロナー! クッキー作ってるんだけどー!」
一体どこにいるのだろう。
アローナはクロナを捜して二階への階段を昇った。
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