スイーツ娘、村へ帰る。



第三章





 お昼時を過ぎた午後の商店街にはのんびりとした空気が漂っていた。

こんなにもゆったりした時間が流れていると、

勝負のことを忘れてしまいそうになる。

「町は今日も変わらないのに、なんだってこんな

七面倒くさいことになっちゃったのかしら」

 クロナとの喧嘩を思いだしふと吐息する。

「白黒つけないわけにいかないのはわかるけど、

クロナが一歩引いてくれたら問題ないのに……」

 口の中で小さく呟いていると、横合いから声をかけられた。

「なあにブツクサ言ってるのさ、アローナちゃん」

「あ、八百屋のおばちゃん! え? あたしは別に何も……」

「クロナちゃんがいないからって気落ちしちゃだめだよ!

わたしも応援するからさ!」

 店から外へ出てきた八百屋のおばちゃんに、ばちんと背中を叩かれる。

「イタッ!」

「気合い入れて頑張んな!」

「わ、わかってるけど暴力はちょっと……って、

なんでクロナが家にいないこと知ってるの?」

 目を見開いて尋ねると、おばちゃんがにやりと片頬をあげた。










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