スイーツ娘、村へ帰る。



第三章





 その店は蔦に覆われた木造の建物だった。

だが、よく見ると看板が出ていない。

近づいてみると、

出入り口の扉にcloseの札がありその下には張り紙があった。


『買い付けのため午後からはお休みします。カリナ』


 アローナは肩を落とした。

せっかくヒントになりそうな情報を掴んだのに、と膨れてみるも、

ツッコミはおろか宥めてくれる者もいない。

「クロナだったら絶対二、三言あるはずなのにな」

 淋しいと思わなくもない。

脳裏に口煩いクロナが過ぎり、

アローナは慌てて首を左右に振りまくった。

「まあ、ともかく出直すしかないわよね」

 気分を変えようと大声で宣言し踵を返し歩きだす。

と、前方から声がかかった。

「あら? アローナちゃん?」

 声の主は不思議堂の店主、カリナだった。










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