スイーツ娘、村へ帰る。
第三章
7
「さあ、そこまでは聞かなかったから。それはそうと、食材は何を使うの?」
「うーんと、洋梨とかかなあって。
秋にぴったりだし。つまみやすくクッキーにしようかなあって」
我ながらまとまりのない話だと思いつつ告げる。
カリナが頬に手をやり口を開いた。
「洋梨ならクッキーよりタルトじゃない?」
カリナの提案にアローナはでも、と腕を組む。
「タルトって作ったことなくて……」
「パイと似たようなものよ。ちょっと違うけど。
それに具材もいろいろ選べるし。
あんまり覚えてないけどアーモンドを使ったタルトもあるはずよ」
「そうなんですか。うーん……」
いまいち自信が持てない。
できたものなら食べたことがあるのだが、
あれを短時間で完璧にマスターすることは不可能だ。
とはいえ、カリナのアイデアも捨てがたい。
作り方だけならクロナの蔵書で調べることができるだろうか。
「とりあえず、家に帰って洋梨のタルトの作り方調べてみます。
クルミの入荷は明後日なんですよね?」
アローナが問うと、カリナが首肯する。
「ええ。好評だったからたくさん用意しておいたわよ」
「じゃあ朝一で来ますね」
「待ってるわ」
嬉しげに微笑むカリナにありがとう、と礼を言い、
アローナは家路へと着いた。
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