スイーツ娘、村へ帰る。



第三章





「さあ、そこまでは聞かなかったから。それはそうと、食材は何を使うの?」

「うーんと、洋梨とかかなあって。

秋にぴったりだし。つまみやすくクッキーにしようかなあって」

 我ながらまとまりのない話だと思いつつ告げる。

カリナが頬に手をやり口を開いた。

「洋梨ならクッキーよりタルトじゃない?」

 カリナの提案にアローナはでも、と腕を組む。

「タルトって作ったことなくて……」

「パイと似たようなものよ。ちょっと違うけど。

それに具材もいろいろ選べるし。

あんまり覚えてないけどアーモンドを使ったタルトもあるはずよ」

「そうなんですか。うーん……」

 いまいち自信が持てない。

できたものなら食べたことがあるのだが、

あれを短時間で完璧にマスターすることは不可能だ。

とはいえ、カリナのアイデアも捨てがたい。

作り方だけならクロナの蔵書で調べることができるだろうか。

「とりあえず、家に帰って洋梨のタルトの作り方調べてみます。

クルミの入荷は明後日なんですよね?」

 アローナが問うと、カリナが首肯する。

「ええ。好評だったからたくさん用意しておいたわよ」

「じゃあ朝一で来ますね」

「待ってるわ」

 嬉しげに微笑むカリナにありがとう、と礼を言い、

アローナは家路へと着いた。










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