スイーツ娘、村へ帰る。



第三章

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「クロナ様はいつも通りでいらっしゃいますわ。

でも、やはりなんだか元気がなくて。屋敷にいてくれるのは嬉しいですが、

あのようなクロナ様を見ているのは心苦しいんですの」

「そう……」

 クロナを思い消沈した様子のイルミラを前に、アローナは戸惑う。

勢いで勝負を受けてしまったが本当にそれでよかったのだろうか。

どう答えていいのか分からず考えあぐねていると、

イルミラが両の目をひたと見据えてきた。

「仲直りしてくださいね」

 やにわに手を握り締められアローナは首肯する。

「わかったわ。約束する」

「絶対ですわよ?」

「ハイハイ」

 幾度も頷いて無理やり手を引き抜くと、その代わり、と

咳払いしてタルトを手に取った。

「これ、味見してくれない?」

「まあ、おいしそう! これはなんですの?」

 イルミラが興味深げにタルトを見つめる。

「洋梨を使ったお菓子よ。普通に食べれるからそこは安心して」

「それなら喜んで、いただきますわ」

 イルミラの言葉に口の端を緩め、

アローナはタルトを切り分けイルミラへ手渡した。

イルミラが嬉しげにタルトを口へ運ぶ。

ゆっくりと咀嚼したのち、小さく首をかしげた。










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