スイーツ娘、村へ帰る。



第四章





「クロナ君、なんだか落ち込んでるみたいだったけど。

結局喧嘩の原因はなんだったの?」

 質問してきたカリナの表情は思いのほか真剣だった。

アローナは少し迷ったあと、口火を切った。

「それが、あたしが味見してほしいってクッキーを食べさせたら、

急に怒りだして出て行っちゃったんです。

あたしとしてはいつも通りに振る舞ったつもりだったんですけど、

クロナのほうはそうじゃなかったみたいで。

『もうたくさんだ』って怒っちゃって……」

 自分のわがままが招いただけに罰が悪く、アローナは下を向く。

「そのクッキーどんなやつだったの?」

「え? ええっと、赤色のクッキーです。

ほら、カリナさんが教えてくれた『スイカ』を使ってみたんだけど。

ちょっと色々入れすぎてたみたいで……」

 語尾を濁して口を閉ざすと、長い溜め息が聞こえた。

「なるほど……。思ったより深刻なのね」

「はい……」

 カリナの言葉へ頷き上目遣いで彼女を見ると、カリナがふと口元を和ませた。










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