スイーツ娘、村へ帰る。
第四章
5
「クロナ君、なんだか落ち込んでるみたいだったけど。
結局喧嘩の原因はなんだったの?」
質問してきたカリナの表情は思いのほか真剣だった。
アローナは少し迷ったあと、口火を切った。
「それが、あたしが味見してほしいってクッキーを食べさせたら、
急に怒りだして出て行っちゃったんです。
あたしとしてはいつも通りに振る舞ったつもりだったんですけど、
クロナのほうはそうじゃなかったみたいで。
『もうたくさんだ』って怒っちゃって……」
自分のわがままが招いただけに罰が悪く、アローナは下を向く。
「そのクッキーどんなやつだったの?」
「え? ええっと、赤色のクッキーです。
ほら、カリナさんが教えてくれた『スイカ』を使ってみたんだけど。
ちょっと色々入れすぎてたみたいで……」
語尾を濁して口を閉ざすと、長い溜め息が聞こえた。
「なるほど……。思ったより深刻なのね」
「はい……」
カリナの言葉へ頷き上目遣いで彼女を見ると、カリナがふと口元を和ませた。
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