スイーツ娘、村へ帰る。
第四章
10
「正直胡桃がキツイけど、お望みならやってやれないことはないと思うわ」
「お願いします!」
歓喜して両手を組むと、カリナが肩を竦める。
「りょーかい。アローナちゃんとクロナ君が仲直りするためだものね」
茶目っ気を含んだ瞳で見つめてくるカリナの言葉に、
アローナは当初の目的を思いだした。
「あ、そうだった……」
これは仲直りするための勝負なのだ。
しかも謝ったからといってクロナが許してくれるかはわからないのである。
しおしおとした気分で肩を落としていると、
カリナが頭に手を置いてくる。
「だめよー。ちゃんと反省して謝るとこ謝んなくちゃ」
「反省は結構ちゃんとしてるつもりなんですけど……」
「本人にちゃんと言わなくちゃ意味ないわよ」
ね、とカリナが見つめてきて、アローナは一瞬言葉に詰まる。
「……はーい」
謝る気ではいたが、どこかでうやむやにしてしまおうという気が
ないではなかっただけに、今の言葉は痛かった。
「まあ、まずは勝負に勝たないとだめだけどね」
「う……」
クロナ君は手ごわいわよ、とカリナにウィンクされ、
アローナはクロナの味の確かさを思いだしもう一度うめいたのだった。
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