スイーツ娘、村へ帰る。
第五章
2
「イルフォードさん、こんにちは。クロナがお世話になってます」
アローナはなるべく失礼のないよう心がけ、しっかりとお辞儀する。
ゆっくり3数えて姿勢を正すと、イルフォードが目を細めた。
「いやいや、それはほら、持ちつ持たれつだよ。
ああ、イルーナ、イルミラ。アローナ君が来たぞ」
イルフォードが人の輪の中へ一声かけると、
金髪の少女とウェーブがかった茶色い髪を
きれいにまとめたの女性がやってきた。
「まあまあ。ごきげんよう、アローナさん」
優雅にお辞儀をしてきたのはイルフォードの妻であるイルーナだ。
当然のことながら金髪の愛らしい少女はイルミラである。
「ようこそおいでくださいましたわ、アローナさん」
イルミラが花のように微笑む。
アローナは口元を綻ばせ、2人にお辞儀を返した。
「こんにちは、イルーナさん。それからイルミラも」
「晴れてよかったですわね」
イルミラが首をかたむけて、ね、と同意を求めてくるので、
アローナはええ、と首を縦に振った。
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