卵のつがい
第一章
1−15
「ねえ、兄ちゃんもオッディーを治してくれた兄ちゃんに会ったこと
あるの?」
「いや、ないんだよ。だから今度会うのが楽しみなんだ」
「そうなんだ。じゃぁ、兄ちゃんに会ったらオッディーは元気だよっ
て言っておいて」
「ああ、わかった」
エポックがフィットの頭をくしゃりとなでる。了承されたことが嬉
しかったのか、にこにこと笑いながらエポックの腕にぶら下がった。
「はい。125カル」
「確かに頂戴しました。それじゃ嬢ちゃんたち道中気をつけてな」
「ありがとうございます。エポック、お待たせ行くわよ」
少し目を離しているうちに幼馴染はフィットの遊具と化していた。
楽しそうに遊んでいるエポックたちへ声をかける。それを合図に、エ
ポックが肩に座っていたフィットを軽々と地面へおろした。
「それじゃ坊主またな」
「うん。また遊びにきてね」
すっかり気に入られたらしい。自分のほうが先に知り合ったのにと
思わなくもないが、あんな対応は自分にはできそうにない。内心で苦
笑しながら、フィットを見つめた。
「フィット君、またね」
「うん。姉ちゃん、バイバイ」
ミラはフィットへ手を振り、背後へ立つアルノーへ会釈をしてから
店を出た。
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