卵のつがい
第二章
8
「あれ? お客さん?」
「おーそうじゃった。この人は……おや、いつの間にか増えとるな」
首を傾げてこちらを見てくる少女にイースへ説教をしていたアルフ
が顔を向けてくる。さきほどまでいなかったエポックの存在に驚いて
いるらしい。黒いたれ目が微かに丸くなった。
「初めまして。本日から数日間アラバの森を探索させていただくエポ
ックといいます。よろしくお願いします」
エポックが礼儀正しく挨拶する。ミラも慌てて頭を下げた。自己紹
介をするのを忘れていたのだ。
「ご挨拶が遅れてしまって申し訳ありません。同じくミラと言います。
よろしくお願いします」
直角に腰を曲げ目線を地面に向けていると、元気の良い声とともに
足音が聞こえてくる。
「いらっしゃーい。村長さんから聞いてるよ。私はエルっていうの」
顔をあげ、近づいてくる足音へ視線を向ける。軽く手を振りながら
ニコニコと笑っている少女、エルと目が合った。
(いい子そうで良かった……)
エルの笑顔に自然と頬を緩める。人見知りをするたちではないがそ
れでも不安は感じていた。なにせ初対面の人間の家に寝泊まりするの
だ。相性の悪い人間だったらと、それだけが心配だったのだがエルを
見て大丈夫だとわかり、ミラは安堵した。
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