卵のつがい



第二章





「あれ? お客さん?」

「おーそうじゃった。この人は……おや、いつの間にか増えとるな」


 首を傾げてこちらを見てくる少女にイースへ説教をしていたアルフ

が顔を向けてくる。さきほどまでいなかったエポックの存在に驚いて

いるらしい。黒いたれ目が微かに丸くなった。


「初めまして。本日から数日間アラバの森を探索させていただくエポ

ックといいます。よろしくお願いします」


 エポックが礼儀正しく挨拶する。ミラも慌てて頭を下げた。自己紹

介をするのを忘れていたのだ。


「ご挨拶が遅れてしまって申し訳ありません。同じくミラと言います。

よろしくお願いします」


 直角に腰を曲げ目線を地面に向けていると、元気の良い声とともに

足音が聞こえてくる。


「いらっしゃーい。村長さんから聞いてるよ。私はエルっていうの」


 顔をあげ、近づいてくる足音へ視線を向ける。軽く手を振りながら

ニコニコと笑っている少女、エルと目が合った。


(いい子そうで良かった……)


 エルの笑顔に自然と頬を緩める。人見知りをするたちではないがそ

れでも不安は感じていた。なにせ初対面の人間の家に寝泊まりするの

だ。相性の悪い人間だったらと、それだけが心配だったのだがエルを

見て大丈夫だとわかり、ミラは安堵した。










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