卵のつがい



第二章





「よろしくねエルちゃん」

「そうじゃ! ちょうどええ。イース、明日この人たちにアラバの森

を案内してあげなさい」


 いいことを思いついたと言わんばかりのアルフの発言に、ミラはエ

ルへのあいさつもそこそこにアルフへ向き直る。


「え、でも、いいんですか?」


 窺うようにアルフとイースを見る。


「ああ。わしは一足先に学園へ戻らせてもらうが、イースの奴はこき

使ってもらって構わんよ」


 アルフがでっぷりとした腹をさすりながら頷く。反し、イースはい

まだ驚いているのか、目を見開いたまま動かない。


(イースの都合を知りたいのに固まったままじゃ聞けないじゃない)


 アルフの提案は渡りに船だが、イースの勉強の邪魔になるつもりは

ないのだ。ミラはどう返事をしていいものか、救いを求めるようにエ

ポックへ顔を向ける。エポックは俺に任せろと言わんばかりに目礼す

ると、イースへ話しかけた。


「こちらとしてはとてもありがたいお言葉なのですが……よろしいの

ですか、イースさん?」

「は、はい! も、もちろんです」


 エポックの声に、イースが了承を口にする。それを聞いてミラは満

面の笑みでイースを見つめた。だが、イースはぎこちない笑みを浮か

べるとすぐに視線を反らしアルフと話し始めてしまった。










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