卵のつがい
第二章
9
「よろしくねエルちゃん」
「そうじゃ! ちょうどええ。イース、明日この人たちにアラバの森
を案内してあげなさい」
いいことを思いついたと言わんばかりのアルフの発言に、ミラはエ
ルへのあいさつもそこそこにアルフへ向き直る。
「え、でも、いいんですか?」
窺うようにアルフとイースを見る。
「ああ。わしは一足先に学園へ戻らせてもらうが、イースの奴はこき
使ってもらって構わんよ」
アルフがでっぷりとした腹をさすりながら頷く。反し、イースはい
まだ驚いているのか、目を見開いたまま動かない。
(イースの都合を知りたいのに固まったままじゃ聞けないじゃない)
アルフの提案は渡りに船だが、イースの勉強の邪魔になるつもりは
ないのだ。ミラはどう返事をしていいものか、救いを求めるようにエ
ポックへ顔を向ける。エポックは俺に任せろと言わんばかりに目礼す
ると、イースへ話しかけた。
「こちらとしてはとてもありがたいお言葉なのですが……よろしいの
ですか、イースさん?」
「は、はい! も、もちろんです」
エポックの声に、イースが了承を口にする。それを聞いてミラは満
面の笑みでイースを見つめた。だが、イースはぎこちない笑みを浮か
べるとすぐに視線を反らしアルフと話し始めてしまった。
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