卵のつがい



第三章





(そうよ! 休憩中なら問題ないわよね)


 一日中探索に明け暮れるわけではない。

きっとピックスのことだ。効率を考えて、何度か休憩を挟むだろう。

そのときイースに話しかければ問題ないはずだ。

ミラは一人頷きながら再び溌溂と歩き出した。


(それにエルちゃんだっているんだから大丈夫よね)


 元々エルが森の案内をしてくれるという話になっていたのだ。

だからイースに話しかけたとしても、

何も知らない同僚たちが変な勘ぐりをすることはないだろう。

エポックのようなからかいを受けるのはこりごりだ。

しかも自分だけならまだ我慢できるが、今回はイースもいる。


(エポックが話す前にちゃんとみんなにイースのことを

話さなくっちゃ)


 自分の口から話せばエポックのような勘違いはしないだろう。

エポックだって本当はわかってるくせに、

からかうためにわからない振りをしているに違いない。


(余計なことを言ったら絶対後悔させてやるんだから)


 ミラは、にやけたエポックの顔を脳裏に浮かべながら

右手で作った拳を左手に当てた。










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