卵のつがい



第三章





(それにしてもまさかエルちゃんもお医師様になりたいだなんて)


 医師などという職業はイースと出会うまで、

あることを知っているだけのものだった。

それが医師を目指すと彼から聞いたとたん身近に感じるのだから

不思議だ。

しかも宿泊した家の子供までもが医師になるための勉強をしている

というのだから変な縁である。


(でもエルちゃんの場合はセレナさんの跡を継ぐからよね)


 セレナはアラバの森の薬草を使って薬を作っているらしい。

元々アラバの村は森に生えている薬草を他の人間が採取しないように

監視するためにできたようだ。

毒にもなる薬草が多々あるからだという。

それらを使って作った薬をアルフやイースのいる学園が買い取り、

使用しているとエルが昨夜の夕飯時に自慢げに話してくれた。


(だから変な話エルちゃんがいれば問題ないのよねー)


 もしかしてアルフは自分のことをイースから聞いていたのだろうか。

勘の鋭そうな人だったから、その可能性も否定できない。


(まっ、いっか)


 考えても埒が明かない。

どちらにしても助かったことには変わりがないのだ。

ミラは、ピックスとの打ち合わせがあるため先に家を出た

エルを追いかけるように、集合場所へと歩く速度を早めた。










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