卵のつがい



第三章





「おはよう」


 集合場所へつくとすでにエポックが他の同僚たちと談笑していた。

ミラが小走りで近づくと手をあげて返してくる。


「おう!」

『おはよう、ミラ』

「ごめんなさい。もしかしてあたしが最後だった?」


 集合時間には十分間に合うようにと早めに出たのだが

遅かったようだ。すでにピックスを除いた全員が揃っていた。


「いや、まだ時間じゃないから大丈夫だぜ」


 謝りながらエポックたちの中へ加わると、

なぜか同僚たちから満面の笑みで迎えられた。


「何? 何かあったの? そんなニコニコしちゃって……」


 不気味とも言える彼らの態度にミラは後ずさる。

それを押しとどめるかのように、

今回の旅で唯一の同性であるディアナが肩に手を乗せてきた。


「んーん、なんにもないわよ。

ただ恋っていいわよねーって話していたところ」


 後ろで一つに編みこんでいる黒髪を揺らしながら、

ディアナがうっとりとした表情で応える。


「はー? 何よそれ?」


 ミラは脈絡のない彼女の言葉に素っ頓狂な声をあげた。










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