ユキうさぎの遠足
第一章
一
A
(それに、無事大学生になれたのも彼女のおかげなんだよな)
彼女のめちゃくちゃな行動に振り回されていたから
私大に落ちたことも引きずらずに済んだのだ。
それどころか、浪人決定と半ば諦めかけていたところを励まされ、
本命に合格することができた。
あのとき、うさぎの存在がなかったら自分は今頃プータロー
だったに違いない。
それを考えると彼女には感謝してもしたりないのだが、
どうにも素直に感謝できない。
それもこれも、うさぎを我が子以上に溺愛している母のせいだ。
本命の合格がわかった日に、おめでとうの言葉もなく
「これもお嬢様のおかげよ」とよくわからないことを言われ。
気づいたときには、なぜか彼女の家庭教師になってしまっていた。
そもそも、うさぎは自分よりも頭がいい。
それなのに、週一度家庭教師として彼女の家へ訪問している。
そして今現在、
ユキが出向いている理由もその家庭教師のせいだった。
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