ミュージカルでは、あまりはっきりしたストーリーはなく、ほとんどがテヴィエの愚痴(?)を聞いているような感じです。ユダヤの習慣では、Tradition(しきたり)が重視され、娘を結婚させるには仲人にある程度のお金を払う必要がありますが、貧しいテヴィエにはそのお金の工面がままなりません。しかし。長女、次女としきたりを無視して結婚していくというような話が重なって物語が進みます。美奈子さんが演じた次女ホーデルは、学生パーチクと婚約しますが、パーチクは政治運動にかかわったため、シベリアに流刑にされてしまいます。ホーデルはパーチクを追ってシベリアに行こうとします。

 この物語は、ロシア系のユダヤ人ショラム・アケイナムのいくつかの小説が元になっています。貧しいユダヤ人が、西欧の社会で迫害されながら生きている様子を描いたものです。ミュージカルを見ても、「ユダヤ人に対する迫害」というところは、日本人にはもう一つピンと来ないかもしれませんが、物語では、ユダヤ人に対する退去命令が出され、やむを得ず全員、別の地域(アメリカ?)に移住せざるを得なくなるとったことが描かれています。
 
 初代のテヴィエ役は森繁久彌さんです。美奈子さんが次女ホーデル役で出演していた時は、2代目テヴィエの西田敏行さんの時です。残念ながら、美奈子さんが出演していたときのCDはありません。森繁テヴィエの時代のCDはあります(今は廃盤)。この時のホーデル役は安奈淳さんです。

 このミュージカルは、歌が良いです。ホーデルのソロの「愛する我が家を離れて」は、ホーデルがパーチクを追ってシベリアに旅立つ直前に、テヴィエに向かって歌です。この間の春日井のフィルムコンサート(2008.2.11)でも美奈子さんバージョンを聴くことができましたが、安奈淳さんバージョンと比べてややアップテンポで、明るめの歌声でした。ミュージカル以外には、以前、愛知でのコンサートで、美奈子さんバージョンの「愛する我が家を離れて」を聴いたことがあります。
 

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