逆引き豊語林 

【項目】 以下の掲載順にまとめた。
    ・あいさつ 
    ・日常会話など 
    ・暮らしや農作業関連 
    ・家屋とその周辺 
    ・身体関連 
    ・体調 
    ・修飾語 
    ・動詞 
    ・色彩 
    ・遊び 
    ・動植物

【凡例】

・掲載は、標準語を平仮名で五十音順に記した。次の( )内は漢字を使った表記。……の後が大分の語彙。※以降は注釈や例文。
・〔高〕〔中〕〔低〕〔稀〕は使用頻度の高い順。あくまで主宰者の主観なので、異論のある方は御指摘をお願いする。
 なお、豊語林本体では、情報をお寄せいただいた方を当該項目の末尾に記したが、ここでは省略させていただいた。

【あいさつ】
ありがとう(有難う)……@〔中〕おおきに A〔稀〕だんだん
おあついですね(お暑いですね)……〔高〕おあつうございます
おさむいですね(お寒いですね)……〔高〕おさむうございます
おつかれさまでした(お疲れ様でした)……〔低〕ごしんどうでした ※「ご心労(しんろう)でした」の「ろ」が「ど」に変化したものらしい。関西弁の「しんどい」に通じるものがありそう。
おはよう……〔高〕おけたな(起けたな)、おけたかな(起けたかな) ※起床してきた者に言う言葉。起きて目の前にいるのに、疑問形で尋ねるのは少々変だが、奥豊後ではこれが朝の挨拶である。
ごめんください(御免ください)……〔中〕おごめん

さようなら(左様なら)……〔高〕ふんなり、〔高〕ふんなりな、〔中〕ほんなり、〔中〕ほんなりな、〔中〕そんなり、〔中〕そんなりな

じゃあね……〔高〕ふな、〔中〕ほな、〔高〕なりな、〔中〕なり、〔中〕んなり、〔中〕んなりな

せいがでますね(精が出ますね)……〔高〕はりこむなあ、〔高〕はりこみよるなあ ※「頑張るね」といった意味合い。

たいへんですね(大変ですね)……〔高〕おひどうございます、〔高〕おひどございます ※田畑や山などで仕事をしている人に対して使う。

どうしていますか……〔高〕どげえしよんな
どちらへ?
……〔高〕どこいきですな(どこ行きですな)、〔高〕どこいきな

【日常会話など】
あってよいわけがない
……〔高〕あっちゃあられん
 ※「そげなこたぁ、あっちゃあられん」(そんなことは、あって良いわけがない=あるはずがない)。
あのね……[高]あんな ※「せんせい、あんな」(先生、あのね)
あんな
……〔高〕あげん、〔高〕あげな
あんなふうにみえて(あんな風に見えて)……〔高〕あげえあっち ※「あんしゃ、あげえあっち、気が小せえんで」(あの人は、あんな風に見えて気が小さいんだよ)。

いいきみだ
(いい気味だ)……〔高〕ふがいい(符が良い)
いらっしゃる……〔低〕おいでる
いますか……〔低〕おいでるな、〔高〕おるな
いません……〔高〕おらんよ、〔高〕おらんで
いわないことじゃない……〔高〕いわんこっちゃねえ

うそ(嘘)……〔高〕うそんかわ(嘘ん皮) ※もちろん「嘘」も普通に使う。
うそはっぴゃく(嘘八百)……〔高〕うそすっぱく、〔高〕うすっぱく、〔中〕うすったく、〔低〕うそすっぱくろう
うんがいい(運が良い)……〔中〕まんがいいい
うんがよかった
(運が良かった)……〔高〕ふがよかった(符が良かった)

おいでください……〔稀〕おいでちくれなさりい
おいしくない(美味しくない)……〔高〕おいしゅうねえ、〔高〕うもうねえ、〔高〕うもねえ
おおぶろしきをひろげる(大風呂敷を広げる)……@〔高〕たいらくういう(大楽う言う) A〔高〕おおけんこつういう(大けんこつう言う)
おおぼら(大法螺)……〔高〕ほげほっぽ ※単に「ほげ」ともいう。「ほげ」は「法外」(ほうがい)が変化したものだろう。
おとこのこ(男の子)……〔高〕おとっこ
おとこのひと
(男の人)……〔高〕おとこし
おなかがすいた
(お腹が空いた)……〔高〕ひもじい、〔低〕ひだりい ※「ひだりい」は古語「ひだるし」。「ひ」は、「干死ぬ(ひしぬ)」(飢え死にする)の「干(ひ)」。体がだるくなるほど空腹であるという意味だろう。
おんなのこ
(女の子)……〔高〕おなんこ
おんなのひと(女の人)……〔高〕おなごし

(格助詞)……〔高〕い ※「かぜ・い・ふいた」(風が吹いた)。遠く奈良時代の文法を今に伝える主格を表す格助詞「い」。『豊語林』の表紙「しよいねえ」を参照。
かにさされた(蚊に刺された)……〔高〕かにくわれた(蚊に喰われた)

きおくにない(記憶にない)……〔高〕おぼえん ※「そげんこたぁ、おぼえんなあ」(そんなことは記憶にないなあ)
きげんがわるい(機嫌が悪い)……〔高〕ふうがわりい(風が悪い) ※「ふうがわりいごたるが、どしたんかえ」(機嫌が悪いようだけれど、どうしたのかな)
きらい(嫌い)……〔高〕すかん(好かん) ※大分弁には「嫌い」に相当する言葉はなく、「好き」の否定形を使う。「好きではない」との婉曲表現ではないので注意を要する。「とっと、すかん」(大嫌い)

くちごたえ(口答え)……〔低〕くちもがい

ごまをする……〔低〕めえすういう ※「めえす」の次の「う」は大分独特の格助詞で標準語の「を」に相当する。「めえす」は「売僧」(まいす)だろう。17世紀初めにポルトガル人宣教師が編纂した『日葡辞書』には「マイス」を「売子、売僧」として「人をだます者、あるいは、詐欺師」、また「売子を言ふ」を「勝手気ままにいろいろな事を言って人をだます、あるいは、欺く」と説明している。
こんな……〔高〕こげん、〔高〕こげな

さんぱつをする(散髪をする)……〔低〕あたまをつむ(頭を摘む) ※高齢者は「あたもぅつむ」という。

しっ、しっ
……〔高〕しょい ※野良猫や野良犬を追い払う際に使う。「また、なぐれ猫い来ちょら、しょい!」(また野良猫が来ているな、しっ、しっ)
〜している
……@〔高〕〜しよる ※「ここじ寝よる」は「今、ここで寝ている」という場合と、「いつも、ここで寝ている」という習慣としての行為を表す場合があり、その違いは文脈で判断する。 A〔高〕〜しちょる ※「ここじ寝ちょる」は、「今現在すでにここで寝ている」という完了形を表す。@、Aとも安易に「ここで寝ている」と訳すと正確ではなくなるので注意を要する。 
〜してください……〔高〕しちょくれ ※もっと丁寧に言うと「しちくれなさりい」。
しまった……@〔高〕しもうた ※「しもうたのお」(しまったなあ) A〔高〕あいたよお ※「あいたよお、しそこのうたが」(しまったぁ、し損なってしまった)
しようがない(仕様がない)……〔高〕しよいねえ ※品詞ごとに分解すると「仕様・い・ねえ」で、「い」は奈良時代からの歴史を持つ主格を表す格助詞「い」。
しんだきになって(死んだ気になって)……〔高〕しにばち ※「しにばち、しちみよ」(死んだ気になってやってみろ)

すぐにおこってもんくをいうひと(すぐに怒って文句を言う人)……〔高〕やっしゃきり
〜することができる……〔高〕しきる ※「きる」は可能の助動詞。「泳ぎきる」(泳ぐことができる)、「読みきる」(読むことができる)

そんな……〔高〕そげん、〔高〕そげな ※「そげんこつう、いいなんな」(そんなことを言わないで)

だいじょうぶだ(大丈夫だ)……〔高〕しょわねえ ※「心配無用」といった感じ。
だから……〔高〕じゃあき、〔高〕じゃき ※「じゃあき、いうたじゃあねえな」(だから言ったじゃないの)
〜だけのことはある……〔高〕〜がなある ※「わざわざ来たがなあったのお」(わざわざ来ただけのことはあるなあ)、「うん、がなあった」(うん、それだけの価値がある)。
だめだ(駄目だ)……@〔高〕わりい(悪い) ※「そげんこつう、すら、わりい」(そんなことをしては、いけない)。 Aつまらん ※標準語で「つまらない」は「面白くない」とか「取るに足りない」という意味だが、大分では「駄目だ」の意味になる。「そげんこつすら、つまらんごつするが」(そんなことをしては、駄目にしてしまうぞ)。

つげぐち(告げ口)……〔高〕もうしあげ(申し上げ) ※名詞であり、「告げ口をする」は「申し上げをする」。

どうしようもない……〔高〕しとめん(仕止めん) ※「こげえなら、もうしとめんで」(こんなになったのなら、もうどうしようもないよ)
どんな……〔高〕どげな、〔高〕どげん

なかがわるい(仲が悪い)……〔高〕おりあいがわりい(折り合いが悪い) ※「あんた、あんした、おりあいわりいちいうたな」(あなた、あの人とは折り合いが悪いんだってね)
なきたいきぶんだ(泣きたい気分だ)……〔高〕なこうごたる(泣こうごたる)
なぐるぞ(殴るぞ)……〔高〕くらっそ、〔高〕ちちまわっそ、〔高〕こづかるるど
なぜ(何故)……〔高〕なし ※「なし、そげんこつういうんな」(どうして、そんなことを言うの」
なぜだ(何故だ)……〔高〕なしか ※「エンジンがかからん、なしか」(エンジンがかからない、なぜだ)
なにをしているの(何をしているの)……〔高〕なにゅうしよるんな、〔高〕なぬしよるんな、〔高〕なにしよるんな ※語頭の「な」にアクセントがある。
なんとまあ……〔高〕こらどうか、〔高〕こらまたどうか ※「こらどうか、さくらが満開じゃが」(なんとまあ、桜が満開だよ)

〜のぶんだけ(〜の分だけ)……〔高〕がな ※分量。「あるがな、みな、おくれ」(あるだけ、全部ください)。
のみかいをしよう(飲み会をしよう)……〔稀〕ひかろう、〔稀〕ひかりゅうしゅう(ひかりをしよう) ※あらかじめ設定された宴会とちがって、その日に急にできた飲み会を「ひかり」という。
〜のようだ……〔中〕ごとある、〔高〕ごたる ※「あめ・い・ふりよるごたる」(雨が降っているようだ)。「〜らしい」も「ごたる」で表現する。「ごとく(如く)・ある」が縮まった。「い」は主格を表す格助詞で、「が」と同じ。奈良時代には使われていた。

ばかにする(馬鹿にする)……〔高〕ばけえする、〔高〕ばけする ※「あんまれ、ひつう、ばけすんなや」(あんまり、人を馬鹿にするなよ)
はしったらつかれた(走ったら疲れた)……〔低〕つうだらだった ※「つうだら」が「走ったら」、「だった」が「疲れた」。大分では動詞の「た」につながる連用形がウ音便の形で使われることが多く、「遊んだ」が「あすうだ」、「飲んだ」が「ぬうだ」、「読んだ」が「ようだ」などとなる。「つうだ」も同様に「とんだ(跳んだ)」から変化した。
はらだちまぎれにあたりちらす(腹立ち紛れに当り散らす)……〔高〕はぶとかやす
はらをたてる(腹を立てる)……〔高〕はろぉたつる(腹を立つる)

ひと(人)……〔高〕し ※「あげんし」(あんな人)、「あんし」(あの人)、「おとこし」(男の人)、「おなごし」(女の人)、「こげんし」(こんな人)、「こどもし」(子供)、「こんし」(この人)、「しらんし」(知らない人)、「そげんし」(そんな人)、「そんし」(その人)、「どんし」(どの人)、「どこんし」(どこの人)、「よそんし」(よその人)、「わけえし」(若い人)
ひどいめにあう(酷い目に遭う)……@〔高〕ばちぃあう(罰ぃ遭う) ※「ばちいおうた」(酷い目に遭った) A〔高〕きたわるる(鍛わるる) ※「また台風が来よる、きたわるるのお」(また台風が来ている。きついなあ)
ひどいめにあわせる(酷い目に遭わせる)……〔高〕ばちぃあわする(罰ぃ遭わする)、〔高〕ばちくらわする(罰喰らわする)

ふざけているよなあ……〔高〕どおくっちょるのお、〔高い〕どおくっちょんのお、〔高〕どおくっちょるでなあ、〔高〕どおくっちょんでなあ
ふざけんなよ……〔高〕どうくんなや(道化んなや) ※「どうくる」は「おどける」(お道化る)からの転。
ふへい(不平)……〔高〕くじ ※江戸時代に訴訟を「公事」(くじ)といったことと関係があるのではなかろうか。「くじんじょう、いう」(不平ばっかり言う)。

へりくつ(屁理屈)……@〔中〕へんじょこんじょ Aへくじ(屁公事か) 
ほうっておく(放っておく)……〔高〕ほたっちょく ※「もういいき、ほたっちょけ」(もういいから、放っておけ)
ほんごしをいれる(本腰を入れる)……〔高〕ほんこしいなる(本腰いなる) ※標準語では「ほんごし」だが、大分では濁らず「ほんこし」となる。

まぬけ(間抜け)……〔高〕どんな(鈍な) ※「どんなやつ」(間抜けなやつ)、「どんなこつ」(間抜けなこと)と使うが、単独でも「こん、どんな」(この、間抜け)と使う。

ゆかげんはどうですか(湯加減はどうですか)……〔高〕おかんなどげえな ※「おかん」は酒を温める「お燗」と同じ音。まさかとは思うが、もしかしたら遺体を清める「湯灌」と関係があるのかも。格助詞「は」は前の語尾が「ん」の場合に、「ん」と合わさって「な」に変わる。
ゆるしてください(許してください)……〔高〕こらえちょくれ(堪えちょくれ)、〔高〕こらえてな(堪えてな)

ようりょうがわるい(要領が悪い)……〔中〕ぐつがきれん
よけいなおせわ(余計なお世話)……〔高〕いらんせわ(要らん世話) ※「くちゅう出すな、いらんせわじゃ」(口を出すな、余計なお世話だ)

〜らしい……〔中〕ごとある、〔高〕ごたる ※ともに「如く・ある」が縮まった形。「〜のようだ」という意味でも使う。「あめい、ふりよるごたるなあ」(雨が降っているようだねえ)

わりにあわない(割に合わない)……〔中〕わんのわりい(割の悪い)
わるくちをいう(悪口を言う)……〔高〕わるういう(悪う言う)、〔高〕わるいう(悪言う) ※「そげえ、わるう言いなんな」(そんなに悪く言わないで)

(格助詞)……〔高〕う ※「めしゅ・う・くう」(飯を食う)、「うす・う・いう」(嘘を言う)、「かじゅ・う・ひく」(風邪を引く)。『豊語林』表紙の「あるみよ」を参照。

【暮らしや農作業関連】
あかりをつける(明かりを点ける)……〔低〕ひをつくる(ひを点くる)
あかるい……〔高〕あかりい
あかるくなる(明るくなる)……〔高〕あかるうなる、〔高〕あかるなる
あぜ(畔)……〔高〕くろ(畔) ※たのくろ(田の畔)
あすのあさ(明日の朝)……〔低〕あしなさ
あすのよる(明日の夜)……〔低〕あしんばん

いっしゅうき(一周忌)……〔中〕むかわり
いで(井手)……〔高〕いぜ ※大分ではザ行とダ行がしばしば混同される。「いぜぶしん」(井手普請)
いとせずにしてしまうこと(意図せずにしてしまうこと)……〔高〕しや ※い「いまんのは、わだっとじゃねえんで、しやで」(今のはわざとじゃなく、不可抗力なんだよ)
いねむりをする(居眠りをする)……〔高〕ねむりかぶる ※「かぶる」は「〜しそこなう」の意味の古語。大分では、このほかに「うけかぶる」(請け負った仕事をしくじる)、「しかぶる」(失禁する)、「まりかぶる」(大便を漏らす)がある。

うけおったしごとをしくじる(請け負った仕事をしくじる)……〔低〕うけかぶる ※「うけかぶったら、おおごとぞ」(請けた仕事をしくじったら大変だぞ)
うどん(饂飩)……〔中〕びっちょ ※幼児語
うわさばなしをいいふらすひと(噂話を言い触らす人)……〔中〕ふればん(触れ番、布令番) ※蔑みを込めた言葉で、本人に直接言うと人間関係を損なう。本来は村の行事の日程などを伝え歩く役割のことを言った。

おおみそか(大晦日)……〔中〕としのよ(年の夜)
おとといのよる(一昨日の夜)……〔中〕きのうんばん(昨日ん晩) ※「昨日の夜」だから「昨夜」になりそうなものだが、大分では「一昨夜」のことをいう。
おもらしをする(お漏らしをする)……〔高〕しかぶる ※「かぶる」は古語で、「し損なう」「しくじる」の意がある。「しかぶる」を直訳すれば「し損なう」だが、大分では失禁限定。「かぶる」については「居眠りをする」、「請け負った仕事をしくじる」の項を参照。
おやつ……〔中〕こびる(小昼)

かたみ(形見)……〔稀〕しゅうばき ※生前に分け与える形見を「いきしゅうばき」(生きしゅうばき)という。
かせいをする(加勢をする)……〔高〕かっする ※「加勢する」が縮まった
かせいしろ(加勢しろ)……〔高〕かっしい ※「ちょっと、かっしい」(ちょっと、手を貸せ)
かせいして(加勢して)……〔高〕かっせて、〔高〕かっしなあ、「高」かっせちょくれ ※「かっしい」の命令形だが、柔らかい言い方。

きし(岸)……〔中〕ぎし ※古くは「ぎし」といったらしい。海岸や川岸だけでなく、傾斜のある田畑や棚田にある比較的大きな斜面のことをいった。
きみ(黄身)……〔高〕きなみ
きゅうす(急須)……〔低〕きびしょ

くうふくでおちつかないようす(空腹で落ち着かない様子)……〔高〕ひろひろする ※料理をしているそばからつまみ食いをしたり、鍋の蓋を開けてみたり、台所をうろうろしたりして落ち着かない様。
くさかり(草刈り)……〔高〕くさきり(草切り)
くさかりき
(草刈り機)……〔高〕びーばー(ビーバー) ※背負うタイプのものも、小脇に抱えるタイプのものも、こう呼ばれる。メーカーを問わない。最初に普及した機械の商品名であろう。

ごはんをよそおう
(ご飯をよそおう)……〔高〕ご飯をつぐ ※味噌汁もご飯も「つぐ」という。

じたいをよりわるくさせる(事態をより悪くさせる)……[高〕わるしなかす ※「あんたがすると、わるしなかす」(あなたがすると余計に悪くしてしまう)
しゅうかくさぎょう
(収穫作業)……〔高〕しのう(収納)、〔高〕しの(収納) ※稲刈りを「いねじのう」(稲収納)、大豆の場合を「だいずじのう」(大豆収納)、麦の場合を「むぎじのう」(麦収納)という。
しょうしょく(小食)……〔中〕こじょく(小食) <反>おおばらとり
しょゆうぶつ(所有物)……@〔中〕がん ※「こら、だれがんな」(これは誰の物ですか)、「そら、おれがんじゃ」(それは俺のものだ)。 A〔中〕と ※「こら、だれんとな」(これは誰の物ですか)、「そら、あんしんとじゃろ」(それは、あの人のでしょ)

せいけい(生計)……〔高〕いのちき ※「そげんこつじ、いのちき、でくるんじゃろうか」(そんなことで生計がたつのだろうか)
せいけいをたてる(生計を立てる)……〔高〕いのちきする ※「どげえしち、いのちき、するんか」(どうやって生計を立てていくのか)
せきについてください(席に着いてください)……[高〕なおっちょくれ ※冠婚葬祭ほかあらたまった場などで定められた席に着くこと。「片づける」の項を参照。

たいしょくかん(大食漢)……〔低〕おおばらとり、〔低〕ううばらとり <反>〔中〕こじょく(小食)
たうえのはじまり(田植えの始まり)……〔中〕じごくいり(地獄入り)
たうえのあとのほねやすめ(田植えの後の骨休め)……〔中〕どろおとし(泥落とし) ※温泉などに出かけて慰労の宴会をすること。
たんか(啖呵)……〔高〕やっしゃ ※語源不詳。「やっしゃきり」は、すぐに感情的になって怒り出す人をいう。
たんかをきる
(啖呵を切る)……〔高〕やっしゃきる

てつだい(手伝い)……〔高〕てったい
てつだう(手伝う)……〔高〕てったう
てつだえ(手伝え)……〔高〕てったえ
てつだって
(手伝って)……〔高〕てっとうて
であるくのがすきなひと
(出歩くのが好きな人)……〔中〕でぼすけ ※軽侮の意味合いがこもるので、当人に面と向かっては言わないほうが良い。
てにおえない(手に負えない)……〔高〕てんべにあわん
でんきゅう(電球)……〔低〕ほや(火屋) ※元はランプの炎を蓋うガラスの容器を指したが、電気の時代になっても高齢者が使う。「ほやが切れた」(電球が切れた)

なまけもの(怠け者)……@〔高〕ごてしん ※仏教用語の「五体死に」を語源とするとの説もあるが、筆者は「御大身」説を取る。「ごたいしん」の「たい」が「て」に縮まったと考えられる。身分の高い者は身の回りのことを自らせずに周囲の者に任せることから、勤勉を尊ぶ庶民が揶揄したものだろう。 Aよだきがり ※何事につけ面倒くさがる者をいう。

のんびりとする……〔高〕ゆたっとする

ばんしゃく(晩酌)……〔中〕やつがい

ひいっぱい(日一杯)……〔中〕ひんがいちにち(日んが一日) ※「ひながいちにち(日長一日)」ではなかろうか。
びくともしない……〔中〕いごきもすごきもせん
ひとばんじゅう(一晩中)……〔中〕よんがよどおし(夜が夜通し)
ひんしつがわるい(品質が悪い)……〔高〕おろいい ※「おろ」は「少し」、「いい」は「良い」で、合わせると「少し良い」になるはずが、「良くない」意味になる。また「あいたぁ、おろいい、やっちゃ」(あいつはろくでもない奴だ)と人に関しても使用する。

ふうとう(封筒)……〔稀〕じょうぶくろ(状袋)
ふとんをかける(布団を掛ける)……〔高〕ふとんをきる(布団を着る) ※高齢者は「ふとん・ぬ・きる」と云う。
ふみだい(踏み台)……〔中〕あしつぎ(足継ぎ)

へそくり……〔稀〕まちぼり
べんしょうする(弁償する)……〔中〕まどう ※「返済する」の意味もある。

むす(蒸す)……〔高〕うむす ※蒸し料理をする場合のほか、鳥の抱卵にも使う。
めんどうなことになる(面倒なことになる)……〔高〕よからんこてぃなる(良からん・こてぃ・なる) ※「あいたのお、こら、よからんこてぃなった」(しまった、これは面倒なことになった)

ゆうべ(昨夜)……〔高〕よんべ、〔中〕ゆんべ、〔中〕ようべ

ようをたす(用を足す)……〔低〕まる(放る)、〔中〕ひる(放る) ※もう「まる」を使う人が減っているように思われる。主に大きい方に使い、小の方は単に「小便をする」というのが一般的。「ひる」は大小ともに使うが、やや品が下がり、女性はあまり使わない。「ひる」は放屁にも使うが、「まる」は放屁には使わない。「まる」は古語で、持ち運びできる便器「おまる(お虎子)」として標準語に残っている。
よこになる(横になる)……〔高〕なごうなる(長うなる)、〔高〕よこしいなる(横しいなる)、〔稀〕ほにゅうこづむ(骨う小積む)
よていがいののみかい(予定外の飲み会)……〔低〕ひかり ※動詞としても「ひかろう」と使う。

【家屋やその周辺】
かまど(竈)……〔低〕くど(竈) ※古語。今では「くど」のある家はすっかり無くなってしまった。
どま(土間)……〔低〕にわ(庭) ※古語。古くは屋内の土間のことを「庭」と呼んだ。ここに台所や「くど」があった。
にわ(庭)……〔中〕つぼ(坪) ※古語。古くは屋敷の敷地のうち、屋外の部分を「坪」と呼んだ。
のきした(軒下)……〔高〕かべなし(壁なし) ※もちろん、壁はあるのだが、壁から軒下の雨がかからない部分を云う。
はなれ(離れ)……〔中〕にかい(二階か?) ※離れが平屋でもこう云った。
ぶつだん(仏壇)……〔高〕ぶったん
みずがめ(水瓶)……〔低〕はんど ※井戸や共同水源から汲んだ水を貯めておく水槽や水瓶。17世紀初めにポルトガル人宣教師が編纂した『日葡辞書』には「ハンドゥ」があり、その翻訳版は「飯銅、茶の湯その他に使うため、水を入れておく金属製の容器、時には粘土製のものでも飯銅といわれる」と記載している。
やねのひさし(屋根の庇)……〔中〕げ
ゆか(床)……〔高〕だ ※家屋の上り框から上の部分。「座」のことで、大分では「ダ行」と「ザ行」の混乱が起こりやすく、これもその一例。「そげん・とこりぃ・おらんじ・だに・あがっちょくれ」(そんなところにいないで、上にあがってください)

【身体関連】
あか(垢)……〔高〕こけ
あざ(痣)……〔高〕ほやけ(火焼け) ※妊婦が火事を見ると「あかほやけ」(赤い痣)、葬式を見ると「くろほやけ」(黒い痣)のある子が生まれるといわれる。

うけぐち(受け口)……〔中〕すけぐち
うなじ(項)……〔高〕どんのくぼ

かかと……〔高〕あど
からだ(体)……〔低〕かだら ※単なる言い間違いにしては使う人が多い。「新た(あらた)」が形容詞になると「新しい(あたらしい)」になることと関係があるのではないかと疑っている。

くちびる(唇)……〔中〕つば ※「はよ水かり上がりよ、つばい、まっさいいじゃねえな」(早く水から上がりなさい、唇が真っ青になっているじゃない)
くるぶし……〔中〕とりこんぶし ※鳥拳(とりこぶし)が語源らしい。

こうとうぶ(後頭部)……〔高〕うしろあたま(後ろ頭)

しにく
(歯肉)……〔中〕はじし(歯肉) ※「肉」には「しし」という読みもある。「いのしし」は本来「猪の肉」という意味だった。『平家物語』(梶原正昭、山下宏明校注、岩波文庫)の「逆櫓(さかろ)」には、梶原景時が「舟に逆櫓をつけよう」と提案したところ源義経に拒まれ、「猪のしし武者」と批判する場面がある。義経は「猪のしし、鹿のししは知らず(略)」と答えており、当時は「鹿」のことを「かのしし」とも呼んでいたことが分かる。
しり(尻)……〔高〕けつ、〔中〕けったん、〔低〕けつびら

せいちょうする(成長する)……〔中〕ふとる(太る) ※「子供は太るのがはええ」(子供は成長するのが早い)。大分で「肥満する」は「こゆる」(肥ゆる)という。

ちぢれげ(縮れ毛)……〔中〕ちじゅげ ※17世紀初めにポルトガル人宣教師によって編まれた『日葡辞書』には「ちじゅ頭」がある。

つむじ……〔高〕ぎり

てくび(手首)……〔中〕すろおで、〔中〕すろうで

ひざこぞう(膝小僧)……〔中〕ひざぼんさん、〔中〕ひざぼんず

ふくらはぎ(脹脛)……〔中〕ゆうろ ※語源不詳。豊後大野市のケーブルテレビで高齢者向けの体操を指導する女性が「はい、次はゆうろ伸ばしです」と言っていた。「ふくらはぎ伸ばし」や「アキレス腱伸ばし」よりも語呂が良く、是非とも全国に広めたい言葉である。
ふとる(太る)……〔高〕こゆる(肥ゆる) ※大分弁で「太る」は「成長する」の意味。
ふともも(太腿)……〔中〕ももたん、〔中〕ももたぶ

まゆげ
(眉毛)……〔中〕まいげ

みみあかがしめったみみ(耳垢が湿った耳)……〔高〕じるみみ ※ぬかるんだ状態を「じりい」という。

ものもらい……〔高〕めいぼ(目疣)、〔中〕いんのくそ(犬の糞)

やぶにらみ(藪にらみ)……〔中〕ひいがら、〔中〕ひいがらめ

りんぱせつ(リンパ節)……〔中〕いのね ※「熊の胆」(くまのい)という言葉が示すように「胆」には「い」の読みもあるので、「いのね」は「胆の根」ではなかろうか。

【体調】
うちみであざができる(打ち身で痣ができる)……〔高〕くろにゆる(黒にゆる)
うちみでできたあざ(打ち身でできた痣)……〔高〕くろにえ(黒にえ)

かおいろがわるい(顔色が悪い)……〔高〕いろめいわりい(色目い悪い)
かぜをひく
(風邪をひく)……〔中〕かじゅうひく(風邪うひく)
かのうする
(化膿する)……〔中〕あばくる
かぶれる(被れる)……〔高〕まくる ※櫨や漆の樹液、草の汁にかぶれること。敏感な肌の人は肥(こえ)にかぶれることもある。名詞としては「はぜまけ」(櫨まけ)、「うるしまけ」(漆まけ)、「くさまけ」(草まけ)、「こえまけ」(肥まけ)がある。

きんにくつうがする(筋肉痛がする)……〔高〕すくるる ※「ひさしぶりに、やめえ、のぼったら、あしがすくれちょる」(久しぶりに山に登ったら、足の筋肉が張って痛い)

だるい(怠い)……〔高〕だりい
つかれる(疲れる)……〔高〕だる ※形容詞「だるい」が動詞化したもの。
どんなぐあいですか(どんな具合ですか)……〔高〕どげえあるんな、〔高〕どげえありますか、〔高〕どげえな

なんとなくたいちょうがよくない(何となく体調が良くない)……〔高〕どうかわりい、〔高〕どうかある ※どこが痛いというわけではないが、体が重い、あるいはなんとなくいつもと違うという場合の表現。
なんとなくねつっぽい(何となく熱っぽい)……〔中〕しんねつがある ※体温計では分からないほどの微熱。
ねちがえる
(寝違える)……〔中〕ねたごかす
ねつなどでとろんとしたようす
(熱などでとろんとした)……〔中〕めのこしがおるる(目の腰が折るる)
 ※「熱でんあるんじゃねえんな、目の腰が折れちょるで」(熱でもあるんじゃないの、目がとろんとしているよ)
ねんざする(捻挫する)……〔中〕こねくる、〔中〕たごかす

はらがいたくてもらしそう(腹が痛くて漏らしそう)……〔低〕はらいせく(腹い急く) ※直訳すれば「腹が急ぐ」で、切迫した感じがよく伝わる。
びょうきがなおったようだ(病気が治ったようだ)……〔中〕きしょきぃなったごたる(気色ぃなったごたる) ※「折り合う」は小康を取り戻すことを指す。
びょうじゃくなひと(病弱な人)……〔中〕よろけ ※あまり良い言葉ではない。
びょうじょうがしょうこうをとりもどす(病状が小康を取り戻す)……〔高〕おりあう ※「どげえな、ちったぁ、おりおうたな」(どうですか、少しは良くなったですか)
ほっしん(発疹)……〔高〕ほろせ
ふとる(太る)……〔高〕こゆる(肥ゆる) ※大分では「太る」は「成長する」という意味で使う。「肥ゆる」は「肥満する」「体重が増える」ことをいう。

めがまわる(目が回る)……〔高〕めがまう
ものもらい……〔中〕目いぼ、〔中〕いんのくそ(犬の糞)

【修飾語】
あたたかい
(暖かい)……〔高〕ぬきい(温い)
あたたかくなる(暖かくなる)……〔高〕ぬくうなる
あつい(暑い)……〔高〕あちい、〔高〕あてぃい
あつくなる(暑くなる)……〔高〕あつうなる
あまい(甘い)……〔高〕あめえ
あまくない(甘くない)……〔高〕あもうねえ、〔高〕あもねえ

いきなり……〔高〕はなち、〔高〕ぽくと
いさぎよい(潔く)……〔高〕いさぎい
いさぎよく(潔く)……〔高〕いさぎゅう
いそがしい(忙しい)……〔高〕しょわしい
いっしょうけんめいに(一生懸命に)……@〔高〕しらしんけん(素真剣) ※「しら」は「素面」(しらふ」の「素」で、「本当に」や「純粋な」という意がある。 A〔高〕しんけんまんけん 
いやだ(嫌だ)……〔高〕せちい ※標準語の「切ない」は類語か

うるさい……〔高〕せからしい、〔高〕しゃあしい

おい(多い)……〔高〕おいい
おおきな(大きな)……〔高〕おおけん、〔高〕おおけな ※「おおけんおおごと」「おおけなおおごと」は「大変なおおごと」の意
おしい(惜しい)……〔中〕おしなぎい、〔高〕もったいねえ(勿体ねえ)
おそい(遅い)……@〔高〕おしい A〔高〕ぬりい ※「足がぬりい」
おそくなる(遅くなる)……〔高〕おそうなる、〔中〕おすうなる

かゆい(痒い)……〔高〕かいい
かゆくなる(痒くなる)……〔中〕かゆうなる、〔高〕かいなる、〔高〕かゆなる
かわいい(可愛い)……〔高〕ええらしい(愛らしい)
かわいそう(可哀そう)……〔高〕むげねえ
かんたんだ(簡単だ)……〔高〕ぞうさねえ(造作ねえ)、〔高〕どうさねえ ※大分ではザ行とダ行がしばしば混同される。
きぜわしい(気忙しい)……〔高〕きじょわしい
きたない(汚い)……〔高〕きさねえ
きたなくない(汚くない)……〔高〕きさのうねえ、〔高〕きさのねえ
きたなくなる(汚くなる)……〔高〕きさのうなる、〔高〕きさのなる
きつい……〔高〕きちい、〔高〕きてぃ
きのどくな(気の毒な)……〔高〕きのどきい ※標準語だと形容動詞だが大分では形容詞の活用をする。
きれい(綺麗)……[高]うつくしい ※大分では「綺麗」の使用頻度は極めて低い。
きれいにする(綺麗にする)……[高]うつくしゅうする。 ※整理整頓する場合にも使用する。

くすぐったい……〔高〕こそばいい
くらい(暗い)……〔高〕くれえ
くらくなる(暗くなる)……〔高〕くろうなる、〔高〕くろなる

げひんな(下品な)……〔高〕げさきい

こうるさい(小煩い)……〔高〕せせろしい
こうばしい(香ばしい)……〔中〕かばしい(香ばしい)
こわい(怖い、恐い)……〔高〕おじい ※標準語には「物怖じする」ということばがある。「怖がる」(こわがる)は「おずがる」という。

さむい(寒い)……〔高〕さみい、〔高〕さびい
さむくなる(寒くなる)……〔高〕さむうなる、〔高〕さむなる、〔高〕さぶうなる、〔高〕さぶなる

じょうぶな(丈夫な)……〔高〕じょうびい(丈夫い) ※形容動詞ではなく形容詞。
しんからひえる(芯から冷える)……〔中〕しんさみい

ずいぶん(随分)……〔高〕えらい、〔高〕えれえ
すごく(凄く)……〔高〕しんけん(真剣) ※しんけん安い(すごく安い)、しんけんせちい(すごくいやだ)。
すこし(少し)……〔高〕ちっとお、〔高〕ちぃいっとお、〔高〕ちびっとお
すこしずつ(少しずつ)……〔高〕ちっとんずく
すずしい(涼しい)……〔高〕すいしい
すずしくなる(涼しくなる)……〔高〕すいしゅうなる
すばやい(素早い)……〔高〕さじい
すばやく(素早く)……〔中〕さじゅう、〔高〕さずう
ずるい(狡い)……〔高〕こしきい

せまい(狭い)……〔高〕せめえ
せまくする(狭くする)……〔高〕せもうする、〔高〕せばむる
ぜんぶ(全部)……〔高〕まるっと ※「あるがな、まるっと、くれなあ」(あるだけ全部下さい)

そうぞうしい(騒々しい)……〔高〕ぎゅうらしい

たいらな(平らな)……〔高〕ひらてえ、〔中〕ひらかてえ、〔低〕ひらくてえ
だいたい(大体)……〔高〕おおかた(大方)、〔中〕おおかたまかた(大方まかた)
たくさん(沢山)……〔高〕ようけ、〔低〕ゆうけ、〔中〕よき
たっぷり……〔中〕どんぶり ※植木や畑の野菜などに水をたっぷりかけることを表現する。「里芋にゃ水う、どんぶりやっちょくれ」(里芋には水をたっぷりやってね)

ちいさい(小さい)……〔高〕こんめえ、〔高〕ちいせえ
ちいさくする(小さくする)……〔高〕こんもする、〔中〕こまむる、〔中〕ちいそうする、〔中〕ちいそする※テレビなどの音量を小さくするほか、お札を硬貨に替える際にも使う。
ちいさくなる(小さくなる)……〔高〕こんもうなる、〔高〕こんもなる、〔高〕ちいそうなる、〔高〕ちいそなる
ちょうど……〔高〕ちょっきり ※「千円ちょっきり」(千円ちょうど)
ちらほら……〔高〕だんだん ※「そげなしが、だんだんおるんで」(そんな人が、ちらほらいるんだよ)。

つよい(強い)……〔高〕ついい
つよくなる(強くなる)……〔高〕つようなる、〔高〕つよなる
つぎからつぎに(次から次に)……〔高〕さっかりざき(先から先に) ※「さっかりだき」ともいうが、これは大分弁がザ行とダ行が混同されやすいことによる。
つめたい(冷たい)……〔高〕つめてえ
つめたくなる(冷たくなる)……〔高〕つめとうなる、〔高〕つめとなる

どっさり……〔高〕ようけ、〔高〕どっせり、〔中〕うんとこせえ
とても……〔高〕とおてん、〔高〕とてん
とりあえず(取りあえず)……〔中〕さしより
どんどん……〔高〕どっとん ※類語として〔高〕「じゃっちゃん」、〔高〕「ごっこん」がある。

ながい(長い)……〔高〕なげえ
ながくする(長くする)……〔中〕ながむる、〔高〕なごうする
なまいきな(生意気な)……〔高〕おうちゃきい(横着い) ※標準語では形容動詞だが、大分では形容詞の活用をする。「あいたあ、おうちゃきい、やっちゃ」(あいつは生意気なやつだ)
なるべく……〔高〕なるたけ、〔高〕なりたけ

ぬかるむ……〔高〕じるうなる
ぬかるんだ……〔高〕じりい ※「道がじりい」(道がぬかるんでいる)、「大雨じ道が、じるうなった」(大雨で道がぬかるんだ)

はがゆい(歯痒い)……〔高〕はがいい
はがゆくなる(歯痒くなる)……〔高〕はがゆうなる、〔高〕はがいなる
〜ばかり……〔高〕じょう ※「嘘んじょう」(嘘ばっかり)、「たからくじゃ、はずれてんじょう」(宝くじは外れてばかり)

ひろい(広い)……〔高〕ひりい
ひろげる(広げる)……〔高〕ひろぐる、〔高〕ひろうする
ひろめる(広める)……〔高〕ひろむる

ふいに(不意に)……〔高〕ひょくと

まちどおしい(待ち遠しい)……[高]まちなげえ(待ち長え)
まっすぐだ(真っ直ぐだ)……〔高〕まっすぎい ※標準語では形容動詞だが大分では形容詞の活用をする。
まるい(丸い)……〔高〕まりい
まるくなる(丸くなる)……〔高〕まるうなる、〔高〕まるなる
まるきり……〔高〕とっと ※「とっと、いかれん」(まるで駄目だ)
まるみえ(丸見え)……〔高〕まっぽうし、〔高〕まっぽし

みじかい(短い)……〔高〕みしけえ、〔高〕みじけえ
みじかくする(短くする)……〔高〕みしこうする、〔高〕みじこうする、〔中〕みしかむる、〔中〕みじかむる
みじかくなる(短くなる)……〔高〕みしこうなる、〔高〕みじこうなる
みょうな(妙な)……〔高〕のうな ※「のうなこつんじょういう」(妙なことばかり言う)

むしあつい(蒸し暑い)……〔中〕ほめく
むずがゆい(むず痒い)……〔高〕はじかいい ※散髪後、首筋や背筋あたりに切った短い髪が入り込んでちくちくする、そんなかゆさをいう。昔は、稲刈り後の藁を乾燥させるために積み上げた物、「藁とびい」や「藁小積み」で遊ぶと、服の中に藁くずが入って「はじかいく」なったものだ。

めんどうくさい
(面倒くさい)……〔高〕よだきい ※古語「よだけし」(弥猛し)には「億劫だ」「物憂い」の意味があり、これが大分や宮崎で使われる「よだきい」のもと。一部で「よはたいぎ」(予は大儀)から「よだきい」に転じたという人もいるが、それは誤り。
めんどうくさがる
(面倒くさがる)……〔高〕よだきがる
めんどうくさがり(面倒くさがり)……〔高〕よだきがり

ものすごい
(物凄い)……〔高〕ばされえ ※「とても」「大層に」「大変に」などの意味に使う。「ばされえおもしりい」(大変に面白い)。活用はしないので形容詞ではなく副詞である。

やいのやいのと
……〔高〕やあやあ ※「親から、やあやあ言われち、せつかった」(親からやいのやいのと言われた嫌だった)
やがて
……〔中〕やんがち

ゆるい(緩い)……〔高〕ゆりい、〔高〕ゆしい ※ズボンのウエストがゆるゆるの時などに使う。〔高〕「ゆすくてえ」という言葉もあり、「ゆしい」や「ゆりい」より緩さの程度がひどい場合に使う。
ゆるりと……〔高〕ゆるっと ※「ゆるっとしちょくれ」(ゆっくりしてください)。

よういではない(容易ではない)……〔高〕やええこっちゃねえ(柔えこっちゃねえ)、〔高〕やえこっちゃねえ
うやく(漸く)……〔高〕ようやっと、〔高〕やっとこせ、〔中〕やっとこさっとこ、〔高〕ようよ
よくなる(良くなる)……〔高〕ようなる(良うなる)
よわい(弱い)……〔高〕よええ
よわくなる(弱くなる)……〔高〕よえなる、〔高〕よええなる

らんざつなさま(乱雑な様)……〔高〕さっぱそうらん

わざと……〔高〕わだっと ※大分ではザ行とダ行がしばしば混同される。
わざわざ……〔高〕わだわだ ※大分ではザ行とダ行がしばしば混同される。

【動詞】
あきる
(飽きる)……〔高〕あく ※標準語では上一段活用だが、五段活用で使われる。
あける(開ける、空ける、明ける)……〔高〕あくる ※「夜が明くる」
あけられる(開けられる、空けられる)……〔中〕あかる、〔高〕あけらるる
あけられない(開けられない、空けられない)……〔中〕あからん、〔高〕あけられん
あたりちらす(当り散らす)……〔中〕はぶとかやす
あった(会った、合った、遭った、逢った)……〔高〕おうた ※「いつ、おうたんな」(いつ、会ったの)
あなをあける(穴を開ける)……〔高〕ほぐ

いきむ(息む)……〔高〕けばる ※「きばる」(気張る)からの転か。
いきる(生きる)……〔高〕いくる ※「こんねこは、あとどんくれ、いくるかのお」(この猫は、あとどれぐらい生きるだろうかなあ)
いじめる
(虐める、苛める)……〔高〕こなす ※「こんめえこを、こなしなんな」(小さな子をいじめないで)
いそぐ
(急ぐ)……〔高〕せく(急く) ※「急いてはことを仕損じる」という言葉があるが、標準語で聞くことは少ない。
いた(居た)……〔高〕おった
いった
(行った)……〔中〕いた ※「行ってきた」を「いちきた」という
いる(居る)……〔高〕おる

うごく(動く)……〔中〕いごく ※「いごきもすごきもせん」(びくともしない)
うめる(埋める)……@〔高〕いくる(埋くる) ※「ねこいしんだき、いえんねきぃ、いけた」(猫が死んだから、家の脇に埋めた) A〔高〕うむる(埋むる)
おいこす(追い越す)……〔中〕おいのこす(追いのこす)
おす(押す)……〔高〕せる ※「自転車をせっち行く」(自転車を押して行く)
おちる(落ちる)……〔高〕おつる ※「転落する」の項を参照。
おしえる(教える)……〔高〕おそゆる(教ゆる)、おしゆる(教える) ※標準語には「おそわる」(教わる)があるので「おそえる」があってもおかしくはないが、よそでは聞かない。
おどろく(驚く)……〔高〕たまがる ※「たまげる(魂消る)」より「魂上がる」ではなかろうか。
おる(折る)……〔高〕おしょる
おれる(折れる)……〔高〕おしょるる

かえす(返す)……〔高〕かやす ※「たがやす」(耕す)は田を引っくり返すことなので、「かえす」より「かやす」の方が古い言葉だろう。「ひっくりかやす」(引っくり返す)
かえる(帰る)……@〔高〕かいる(帰る) A〔中〕いぬる(往ぬる、去ぬる) ※文語のナ行変格活用が残っている。
かえる(変える、替える、代える、換える)……〔高〕かゆる
かたづける(片付ける)……〔高〕なおす ※元々「直る」は「本来あった状態に戻す」ことをいった。号令「気をつけ、前に倣え、直れ」の「直れ」も「元の姿勢に戻れ」の意だ。「起き直る」「居直る」なども同じ。「片付ける」も「本来あった場所に戻す」ことであるので、「直す」に元々あった意味だったが、それが忘れられ、九州に残った。
かつぐ(担ぐ)……〔高〕かたぐ、〔高〕かたぐる
かった(買った、飼った)……〔高〕こうた
からかう(揶揄う)……〔高〕せがう
かりた(借りた)……〔高〕かった
かりる(借りる)……〔高〕かる(借る) ※標準語では上一段活用だが、五段活用で使われる。
かわいがる(可愛がる)……〔中〕もどがる

きめろ(決めろ)……〔高〕きみい、〔高〕きめよ
きめる(決める)……〔高〕きむる
きめよう(決めよう)……〔高〕きみゅう
きゅうけいする(休憩する)……〔高〕よこう ※名詞形は「よこい」で、「今日はよこいな」(今日は休みですか)などと使う。関連の言葉として「ひとよこい」(小休止)、「ながよこい」(大休止)がある。

くすぐる……〔高〕こそぐる
くずれる(崩れる)……@〔高〕くゆる(崩ゆる) ※山の斜面や田や畑の畦、道路などが大雨で崩壊すること。 Aくずるる(崩るる) ※物などが破損すること。
くった(食った)……〔高〕くた ※「食ってきた」も「くちきた」となる。「食った」がウ音便化して「食うた」となり、それが縮まった形。「食うた」も使う。
けいかくする(計画する)……〔中〕よだつ ※語源不詳

こい(来るの命令形)……〔中〕きい(来い)、〔高〕きよ(来よ) ※こっちいきい。こっちいきよ。女性は「きよ」を使うことが多い。
こうたいする(後退する)……〔高〕ひどる)
こそぎとる(刮ぎ取る)……〔高〕こさぐ
ころぶ(転ぶ)……〔高〕こくる
こわがる(怖がる、恐がる)……〔高〕おずがる ※「こわい」を参照。
こわれる(壊れる)……〔高〕くずるる、〔高〕こわるる、〔低〕こわくる

さからう(逆らう)……〔低〕もがう
さける(裂ける)……〔高〕さくる
さけぶ(叫ぶ)……〔高〕おらぶ
ささる(刺さる)……〔高〕ぬかる 

しおおせる……〔高〕しおする、〔高〕しよする、〔中〕しあわする
しおおせない……〔高〕しおせん、〔高〕しうせん、〔高〕しよせん 〔中〕しあわせん
しおれる(萎れる)……〔高〕しぼなゆる
しぬ(死ぬ)……〔高〕しぬる ※標準語では五段活用だが、文語のナ行変格活用が残っている。
しみる(沁みる)……〔中〕しゅむ ※「こん大根な、味がよう、しゅんじょる」(この大根は、味がよく沁みている)。
しよう……〔高〕しゅう ※「勉強しゅう」(勉強をしよう)、「しごつうしゅう」(仕事をしよう)。
しようよ……〔高〕しゅうえ、〔高〕しゅうや
しろ……〔高〕しい、〔高〕しよ  ※「はよ、しい」(早くしろ)。女性は「しよ」を使う。そのため少し優しく聞こえる。

すてる(捨てる)……〔高〕すつる、〔高〕うしつる
すれちがう……〔高〕りごうする(離合する) ※狭い道路で車がすれ違うことをいう。山間の狭い道路には所々にやや広くなっている場所があり「離合場所」と標識が立てられている。

せおう(背負う)……〔高〕かるう

たべる(食べる)……〔高〕たぶる
たりた
(足りた)……〔高〕たった
たりる(足りる)……〔高〕たる ※標準語では上一段活用だが、五段活用で使われる。

つみあげる(積み上げる)……〔低〕こづむ(小積む)

できる(出来る)……〔高〕でくる ※単に可能であるだけではなく、「勉強がよく出来る」「成績が良い」の意味がこもる場合がある、「あん子は、何でん、よう、でくるんと」(あの子は、何でも良く出来るんだって)
てんらくする(転落する)……〔高〕ほらくる ※「落つる」と違って「ほらくる」は主に人が高さのある場所から転落することをいう。その転落する様子に勢いが付くと、強調の接頭辞「ず」が付いて「ずぼらくる」という。「いでに、ほらけた」(井手に落ちた)、「いでに、ずぼらけた」

とりそこなう(取り損なう)……〔高〕とりとばす(取り飛ばす)

なくす(失くす)……〔高〕のうならかす、〔高〕ねえならかす ※「こうたばっかれじゃに、もう、のうならかしたんか」(買ったばかりなのに、もう失くしたのか)
なくなる(無くなる、亡くなる)……〔高〕のうなる
なぐる(殴る)……〔高〕くらす、〔高〕こづく(小突く)、〔高〕ちちまわす ※大分弁に関するネット上の書き込みなどで「ちちくりまわす」という語彙があるとしているものが散見される。しかし、これは何の関係もない「ちちまわす」と「乳繰り合う」が、単に音に共通する部分があるというだけで誤って混同されたものと考える。すくなくとも奥豊後にはそのような言葉はなかったし、今もない。
なげこむ(投げ込む)……〔高〕なんこむ
なげつける(投げ付ける)……〔中〕なんかくる、〔高〕ちっつくる
なげる(投げる)……〔高〕なぐる、強調する場合いは〔中〕「ちちなぐる」、〔中〕「ちんなぐる」 ※「ここかり、なぐるで」(ここから投げるよ)
なでる(撫でる)……〔高〕なずる
なめる
(舐める)……〔中〕ねぶる ※ただし「なめんなよ」という場合に「ねぶるなや」とは言わない。敢えて言えば「なむんなや」か。

においをかぐ(匂いを嗅ぐ)……〔高〕におう(匂う) ※標準語では、匂いがする、香りが漂う場合に自動詞として「匂う」を使うが、大分では他動詞として使い、「匂いを嗅いでみる」を「におうちみる」と表現する。
にない(煮ない、似ない)……〔高〕にらん ※文語の上一段活用が五段活用で使われる。

ねろ(寝ろ)……〔高〕ねれ(寝れ)、〔高〕ねよ(寝よ)
ねない(寝ない)……〔高〕ねらん(寝らん) ※標準語では下一段活用だが、五段活用で使われる。

のぼせあがる(のぼせ上がる)……〔高〕ぼうでる、〔高〕ぼうぜる ※繁殖期のカラスを「ぼうでガラス」という。

はいる(入る)……〔中〕いる(入る)
はいろう(入ろう)……〔中〕いろう(入ろう) ※「ふりい、いろう」(風呂に入ろう)
はく(掃く)……〔高〕はわく(掃わく) ※古語に「箒木(はわきぎ」がある。「箒(ほうき)」は「はわき」が転じた。
はしる(走る)……〔高〕とぶ(跳ぶ) ※大分弁の特性として、タにつながる連用形はウ音便の形になるので「とんだら」ではなく「つうだら」となる。「つうだら、だった」(走ったら疲れた)

ひっかく(引っ掻く)……〔高〕かかじる ※「猫にかかじられた」(猫に引っかかれた)
ふかする(孵化する)……〔高〕かいわるる ※「にわとりん卵い、かいわれた」(鶏の卵が孵化した)
ふくれる(膨れる)……〔高〕ふくるる(膨るる) ※「むくれる」の意味でも使う。
ふける(老ける)……〔高〕ふくる(老くる)
ふざける……〔高〕どうくる ※「道化る」だろう。標準語には「おどける(お道化る)」と言う言葉がある。
ぶっこわす(ぶっ壊す)……〔高〕つんくずす、〔高〕ちっくずす

へらす(減らす)……〔高〕へす

ほうる(放る)……〔高〕ほたる ※「放置する」の意味でも使う。
ほうりこむ
(放り込む)……〔高〕ほたりこむ ※「なんもかんも、押し入れにほたりこむな」(何もかも押し入れに放り込むな)
ほうりなげる
(放り投げる)……〔高〕ほたりなぐる

まげる(曲げる)……〔高〕まぐる
まるのみする(丸呑みする)……〔高〕ひんのむ(ひん飲む)
まるめる(丸める)……〔高〕まるむる
まわる(回る)……〔高〕まう ※「扇風機がまいよる」(扇風機が回っている)、「エンジンがまいよる」(エンジンが回っている=動いている)
みない(見ない)……〔高〕みらん(見らん) ※文語の上一段活用が五段活用で使用される。

むくれる……〔高〕はぶつる、〔高〕はぶてる

めぐらす(巡らす)……〔高〕めぐす

ゆがむ(歪む)……〔高〕よがむ
ゆがんだ(歪んだ)……〔中〕よごうだ ※「た」、「だ」につながる連用形がウ音便化する原則通り。

よける(避ける)……〔高〕よくる
よりかかる
(寄り掛かる)……〔高〕なんかかる ※「なんかくる」(投げつける)と似た言葉だが別物なので要注意。

【色彩】
あおい(青い)……〔高〕あいい ※強調すると「ああいい」、さらに「まっさいい」となる
あおくなる(青くなる)……〔高〕あおうなる、〔高〕あおなる

あかい(赤い)……〔高〕あけえ ※強調すると「ああけえ」、さらに「まっけえ」となる。
あかくなる(赤くなる)……〔高〕あこうなる、〔高〕あこなる

あざやかなみどりいろ(鮮やかな緑色)……〔高〕まっぴい ※「真っ青」のことだと言う人もいるが、では「快晴の空を『まっぴい』というかと問うと、確たる返事が得られない。「青虫」、「青葉」、「青物」、「青信号」がいずれも実際は緑色であるように、「緑色」は古くから「青」と認識されていた。さて、「まっぴい」だが、「まっ」は強調の接頭辞であるから語幹部分「ぴい」で、本来は「ひ」であろう。青色か緑色を形容する言葉である以上「緋色」でないことは間違いない。同じ「ひ」の音を持つのが「翡翠」(ひすい)の「翡」だ。「翡翠」には「かわせみ」の読みもあり、雄が翡、雌が翠で、特に雄の羽が光線の具合で複雑に輝く玉虫の羽のような光沢があることから、「翡翠」の「翡」(ひ)にちなんだ表現であるように思われる。

きいろ(黄色)……〔高〕きな ※標準語には「黄な粉」がある。「信号がきなになったら、渡ったらいけんよ」(信号が黄色になったら、渡ってはいけないよ」。卵黄は「きなみ」(黄身)という。
きいろい(黄色い)……〔高〕きねえ ※強調すると「きいねえ」、さらに「まっきねえ」となる。
きいろくなる(黄色くなる)……〔高〕きのうなる、〔高〕きのなる

くろい(黒い)……〔高〕くりい ※強調すると「くうりい」、さらに「まっくりい」となる。
くろくなる(黒くなる)……〔高〕くろうなる、〔高〕くろなる ※「暗くなる」の「くろうなる」と文字は同じだが、「黒うなる」は「く」にアクセントがあり、「暗うなる」は平板に発音する。

しろい(白い)……〔高〕しりい ※強調すると「しいりい」、さらに「まっしりい」となる。
しろくなる(白くなる)……〔高〕しろうなる、〔高〕しろなる、〔中〕しるうなる

まっかだ(真っ赤だ)……〔高〕まっけえ
まっかになる(真っ赤になる)……〔高〕まっこなる

まっきいろだ(真っ黄色だ)……〔高〕まっきねえ
まっきいろになる
(真っ黄色になる)……〔高〕まっきのなる

まっくろい
(真っ黒だ)……〔高〕まっくりい
まっくろくなる(真っ黒くなる)……〔高〕まっくろなる

まっさおだ(真っ青だ)……〔高〕まっさいい
まっさおになる(真っ青になる)……〔高〕まっさおなる、〔高〕まっさいなる

まっしろい(真っ白い)……〔高〕まっしりい
まっしろくなる(真っ白になる)……〔高〕まっしろなる、〔中〕まっしるなる

【遊び】
かたぐるま(肩車)……〔高〕びびんこ ※17世紀初めにポルトガル人宣教師によって編まれた「日葡辞書」には、肩車を意味する「びびうま」「びびこま」が収録されている。類語と考えても差し支えなかろう。
こま(独楽)……〔低〕ごま ※語頭にアクセントがあり、平板に発音する「胡麻」(ごま)と区別する。

シーソー……〔中〕ぎっこんばったん、〔中〕ぎっこたんばっこたん ※筆者は「ぎったんばっこん」といった記憶がある。
じゃんけんぽん、あいこでしょ……〔高〕じゃんけんしょい、あいこでしょい ※このあと「しょい、しょい」、あるいは、「しょっしょのしょ」
しんけんしょうぶ(真剣勝負)……〔中〕ほんこ ※ビー玉やめんこで勝ったほうが負けた者のめんこやビー玉を自分の物にすること。〈反〉〔中〕かしこ、〔中〕じゃらこ

たけうま(竹馬)……〔中〕ゆきあし(雪足)

なかま(仲間)……〔高〕とぎ(伽) ※「遊び仲間」のほか「一緒に行動する相手」「連れ」の意がある。「とぎがおらなつまりめえ」(一緒にいる人がいないと面白くないだろう)

なかまにいれる(仲間に入れる)……〔高〕かつる(糅つる) ※「こんこを、かてちゃって」(この子を仲間に入れてやって)

びり
……〔高〕どべ
ビー玉……〔高〕びいろん

めんこ……〔高〕ぱっちん、〔中〕べた

わんぱく(腕白)……〔高〕わりがね、〔高〕わるがね

【動植物】
あおだいしょう(青大将)……〔高〕やわたろう ※家の守り神として大事にされた。昔は脱皮後の皮を見つけると鴨井に置くなどした。語源不詳。「八幡」(やはた、やわた)との関連を疑っている。
あぶらむし(油虫)……〔高〕のだれ
あまがえる(雨蛙)……〔低〕あおひき(青蟇)
あり(蟻)……〔中〕ありげん、〔低〕ありまん、〔低〕いあり
おたまじゃくし(お玉杓子)……〔低〕げえろんこ ※「げえろ」が蛙で「蛙の子」のこと。

かえる(蛙)……〔中〕ばっくん、〔低〕げえろ
かに(蟹)……〔低〕がに ※古くは「がに」といったらしく「がにまた」という言葉に残っている。長湯温泉には「がに湯」がある。
かめむし(カメムシ)……〔中〕ふ、〔中〕ふんむし ※「とうめ、ふう笑う」(臭い芋虫が、カメムシを臭いと笑う)という俚諺がある。「五十歩百歩」、「目くそ鼻くそを笑う」と同義。
からむし(苧)……〔高〕ぽんぽんぐさ
きのみ(木の実)……〔中〕ぶずう ※固い実をいい、「かたしぶずう」(椿の実)、「どんぐりぶずう」(どんぐりの実)、「茶園ぶずう」(茶の実)
ごきぶり(ゴキブリ)……〔高〕あぶらむし(油虫)

さるすべり(百日紅)……〔中〕こちょこちょのき
しいたけ(椎茸)……〔高〕なば ※生の椎茸は「なまなば」、乾燥させた椎茸は「ほしなば」
すずめばち(雀蜂)……〔高〕ダンゴバチ(オオスズメバチ」 ※やや小振りのスズメバチを「アカバチ」と呼ぶ。

つばき(椿)……〔中〕かたし ※実を「かたしぶずう」という。
つばめ(燕)……〔低〕つばくろ(燕)
とのさまがえる(殿様蛙)……〔稀〕はちけんばっくん ※「はちけん」は「八間」で実際はそれほどの跳躍力はないが、国内の蛙の中ではずば抜けた飛距離をもつことに敬意を表したものかもしれない。

はえ(蝿)……〔中〕はい ※蝿叩きは「はいうち」(蝿打ち)
ひがんばな(彼岸花)……〔中〕おしょりばな(折しょり花)
ひきがえる(蟇)……〔中〕たんのんばっくん
ひる(蛭)……〔中〕ひいる
ぶゆ(蚋)……〔高〕ぶと

まむし(蝮)……〔高〕まへび ※「真蛇」だろう。つまり「蛇の中の蛇」という意味だろうと思う。
やまかがし……〔高〕からすへび

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