さきゅうぬうだ
さて、問題は「ぬうだ」である。標準語では動詞「飲む」の「た」につながる連用形が「飲んだ」となるのに対して、奥豊後ではウ音便化したうえに語幹「の」を「ぬ」に変化させてしまい、「ぬうだ」となるのである。
奥豊後では、「た」あるいは「だ」につながる連用形が、このようにウ音便となる場合が多い。
次にいくつか例を挙げてみる(カッコ内は標準語)。
【Aグループ】
・遊ぶ → あすうだ(あそんだ)
・入れ込む → いれくうだ(いれこんだ)
・おらぶ → おろうだ(敢えて言えば、おらんだ)
・仕込む → しくうだ(しこんだ)
・畳む → たとうだ(たたんだ)
・頼む → たぬうだ(たのんだ)
・掴む → つこうだ(つかんだ)
・突っ込む → つっくうだ(つっこんだ)
・飛ぶ、跳ぶ → つうだ(とんだ)
・並ぶ → なろうだ(ならんだ)
・飲む → ぬうだ(のんだ)
・よがむ → よごうだ、よぐうだ(ゆがむ→ゆがんだ)
・読む → ようだ(よんだ)
・喜ぶ → よろくうだ(よろこんだ)
【Bグループ】
・合う、会う、逢う、遭う、遇う
→ おうた(あった)
・買う、飼う → こうた(かった)
・し損なう → しそこのうた(しそこなった)
・違う → ちごうた(ちがった)
・這う → ほうた(はった)
・払う → はろうた(はらった)
・舞う → もうた(まった)
・間違う → まちごうた(まちがった)
・酔う → ようた、ゆうた(よった)
・笑う → わろうた(わらった)
一方、【Bグループ】の方は、本サイトの「動詞の大分活用」五段活用での説明と重複するが、あえて再掲する。こちらは比較的若い世代も使う単語である。あえて言えば「ゆうた(酔った)」は年齢層の高い人々が使うだろう。