SA.KU.RA.N.BO 〜占い〜










休み時間。思いっきり、のめりこんで計算をしている。
彼の生年月日と私の生年月日。


ただの片想いでも相性が気になるのは仕方ないことだと思う。
悪かったら落ち込む。分かっているんだけど、つい。



えーっと、11月28日だから・・・っと。
足して・・・引いて・・・ああん複雑!



心の中でぼやきながら、とうとう暗算では苦しくなってきてノートの隅っこに筆算を始める。
計算するのに集中していて、周囲に全く気が向いていなかった。



「ねっねっ、何をそんなに計算してるのかにゃ?」



頭の上から降ってきた声に、一瞬心臓が止まったかと思った。
咄嗟に両手で占いの本を覆って隠す。


ニコッと英二君が笑った。
大好きな彼が笑うから、私も思わずつられて微笑んだ。
と、僅かな隙をつき目に止まらぬ早業で手の下に隠した雑誌が抜き取られる。



「わっ、ダメ!返して!」
「やだよぉ〜ん♪なになに?ふ〜ん。えっと、相性占い?彼とあなたの相性は?」


「ダメダメダメ!返してって」



必死に取り戻そうとする私の頭を簡単に抑えて、
意地悪く手の届かない高さに雑誌を上げて読み始める英二君。
ああ、どうしよう。じわっと涙が滲んでくる。



面白がっていた英二君が私の顔を見て『しまった!』という顔をした。
メンゴ、メンゴ・・・と片手で頭をかきながら占いの雑誌を差し出してくる。



「な〜んか、嬉しくって。ついさ」



嬉しい?意味が分からずに、きょとんとして彼の顔を見つめてしまった。



「これ」



トントンと、机に広げたノートを人差し指で叩くから、その指先を目で追った。
そこには。


西暦に続いて書かれた数字。


     11月28日。 英二君の誕生日。



     その下には私の誕生日。



計算するのに・・・覚書で書いてしまった。



「あ・・・あのっ、これはっ」
「あのさぁ、俺のほかにも11月28日生まれがいるとかって言うのはナシね。あ、マジいたら。俺って、マヌケ?」



えっと・・・待って。どういう意味?
あまりのことに混乱して、状況が理解できないの。



馬鹿みたいに椅子から立ち上がったままの私。


英二君は、クスッと笑うと。



「はいはい。続きを計算しよっ。俺も気になるしさぁ。なになに、どこまで計算できてんのぉ?」



そういって、私の腕を掴んで椅子に座らせる。
まるで人形のようにぎこちなく椅子に座って、頭の中でぐるぐる考える。



「英二君」
「なに?」


「あの・・・これは・・・どういう?」
「ん〜」



彼は私の横にしゃがみ込んで、シャーペン片手に計算を始めてる。
外に跳ねた髪が、こんな近くで揺れているのを不思議な気持ちで見つめる。


ふいに。シャーペンを走らせていた英二君が顔を上げた。
目の前に大きくて丸い瞳。


その瞳が真っ直ぐ私を映して。



「俺もとの相性が、ものすご〜く気になってるって事。つ・ま・り・・・」





     つまり?



     が大好きってこと!





耳元に口を寄せてきて、あっさりと囁かれた言葉。



真っ赤になって。


瞬きも忘れて。


ただ見つめ合って。



困ったみたいに笑った英二君の手が伸びてきて。
イーコ、イーコと頭を撫でられて。



思わず泣いてしまったら。



「コラ!エージっ、人のクラスに来て女の子を泣かすなよっ!」



焦った大石君の声が聞こえてきた。




















「占い 菊丸編」

2005.04.24



















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