SA.KU.RA.N.BO 〜シアワセ〜
「ね、俺の好きな食べ物、なぁんだ?」
昼休みの教室。
私の教室まで来てくれて、一緒にお弁当を食べた英二クンが聞いてきた。
他愛のない、おしゃべり。でも、とっても大切な時間。
好きな食べ物?
知ってるよ。だって、大好きな人のことだもの。
「ふわふわオムレツ・ぷりぷり海老フライ・シャリシャリかき氷」
ウンウンと、英二クンが頷く。ほら、正解でしょ?
「じゃあ、好きな科目は?」
「日本史」
えへ。ちょっと、意外だな・・・って思ったから覚えてる。
「じゃあ、好きな色」
「赤」
英二クンの持ち物、赤が多いものね。
にこーっと、彼が微笑んだ。
目の前に座る彼の手が、私の頭に伸びてきて、
イイコ、イイコと頭を撫でてくれた。
くすぐったい。でも、嬉しい。
「ねぇ、じゃあさ。俺が一番好きな人は、だぁれだ?」
頭に手を置いたまま、上目遣いに私を見つめる。
『えっ・・・』 と、私は言葉に詰まった。
私の表情を見て、英二クンは悪戯っぽい笑顔を浮かべている。
早く早く、と。楽しそうに、急かす彼。
私・・・って、言わせたいの?私自身に?
んー、イジワル。
考えたら恥ずかしくなってきて、顔が勝手に赤くなってくる。
答えられずに俯いてモジモジしてたら、英二クンが可笑しそうに
『ブッブッー、時間切れ』と言った。
ホッとして、肩の力を抜いたら、
チョンと人差し指で鼻の頭を弾かれた。
「な・・・」
「正解は、でしたぁ!へへ、残念だったにゃあ♪」
顔をあげれば、瞳を細めた彼が肩肘をついて首をかしげながら笑っていた。
ああ、もうっ。なんて笑顔で私を見つめるの?
机を挟んで、真っ赤になってるであろう私と楽しそうに笑ってる英二クン。
追い討ちをかけるように、英二クンが言葉を続ける。
「が一番大好きだよ」
ちょっと、待って。駄目。心臓が壊れちゃいそう。
「大好き」
英二クンの瞳が、段々真剣になっていくから。
もう視線さえ外せなくて。
待って。そんな、優しい声で囁かないで。
「」
待って。
ダン。
突然、机の上に英語の辞書が音を立てて置かれた。
ハッとして、英二クンと二人、同時に見上げた先には苦虫を潰したような顔の大石君。
「頼む。そういうことは、二人きりのときに言ってくれないか?
隣で聞かされる俺の身にもなってくれよ。」
「あ・・・」
頭が真っ白になった。赤い顔が更に赤くなる。熱くて、しょうがない。
なのに英二クンときたら、ケラケラ笑って言ったの。
「あ、ゴメーン!なんか、しか見えなくってにゃ♪」
「・・・・・ごちそうさま。」
大石君は脱力したように席を立ち、ふらふらと教室を出て行った。
ああ、大石君。ごめんなさい。
「ヨシッ、大石もいなくなったし。今度は、の一番大好きな人を教えてもらっちゃおうかなぁ♪」
確信犯的な笑顔を浮かべて英二クン。
ねぇ、英二クン。
大好きだけど・・・教室で聞くのはやめて?
笑顔の彼に、どのタイミングで言えばいいのか。
私は困った彼に頭を悩ませる。
でも・・・それも、シアワセ。
「SA.KU.RA.N.BO〜シアワセ〜」
2005.05.21
力が抜けてます
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