大きなお世話
大石君が恋をした。
同じクラスの元気な女の子。
大石君のタイプは、おとなしくて女の子っぽいコかと思ったら違ってた。
おしゃべりな英二クンからは、私に情報が筒抜けで。
まいったなぁ・・・と言いながら、大石君が話してくれた恋心。
「なんか、彼女を見てると元気になるっていうか。
あの・・・ほら。お日様みたいっていうか。彼女が笑ってるだけで幸せっていうか。
あ・・・俺、なんか恥ずかしいこと言ってないか?」
照れたように話してくれた大石君。とっても、ステキな顔だった。
何とかしてあげたいって、私も思ったけど。
私以上に『なんとかしてやるぜぃ』と張り切ったのは、黄金ペアの片割れである英二クンだった。
「大石っ。ダイジョーブ!俺に、まかせとけぃって。大船に乗った気分でいいぞっ」
「ドロ舟かも・・・」
「ん?何か言ったかにゃ?」
「あ?あ、いやいや。心強いよ、エージ。でも、これは俺の問題だから、余計な・・」
「よっしゃぁ!がんばるぞぉぉぉ」
「エージ・・・」
不安な色を瞳に浮かべている大石君の横で、話もろくに聞いていない英二君が気合を入れている。
ふと私に視線を向けてきた大石君が、目だけで『頼むっ、エージを抑えてくれよっ』と訴えてくるから。
私も目だけで『うん。やれるだけ頑張ってみるね』と答える。
「あっ、ちょっ。なに、と目で会話してんだよっ!は俺のなんだから、勝手に会話するなよっ。
もッ。俺以外の奴とそんなことしちゃダメっ!」
教室なのに、ガバッと腕の中に抱きしめられて、ジタバタしても離してもらえない。
いつものことにクラスメイト達も慣れたのか、過剰なスキンシップに誰も反応しなくなってきた。
いちいち注意していた大石君でさえ「勝手にしてくれ。あ、俺。手塚のトコに行ってくるよ」と教室を出て行った。
「英二クン、離してっ」
「もうっ。のテレやさん♪」
チュッと髪にキスを落として、やっと開放してもらえた。
「さて。大石にも俺たちみたいに、ラブラブ甘甘な幸せを与えてやらなきゃね。
えっーと、作戦名は・・・恋のラブラブ大作戦ーっ♪」
英二クン、あまりにベタな作戦名だよ。
それに。大石君は両想いになったとしても、英二クンほどに甘甘にはならないと思うの。
心の中で思いながら、機嫌よく作戦を練っている彼には何も言えずに。
ただクルクルと変わっていく彼の表情を見つめていると、やっぱりシアワセ。
「まずは、彼女に誰か付き合ってる奴がいないか確認しなきゃ。」
「あの・・・もし彼女に彼氏がいたら?」
「ぶっ潰す」
「ええっ」
「付き合って無くても、好きな奴がいるかもしれないなぁ」
「・・・いたら?」
「諦めさせるッ」
「それは、ちょっと・・・どうかな?」
「あと、あの大石の髪型に違和感がないか確認しとかなきゃ」
「いや、それは、大きなお世話かも」
「とにかく直接聞いてこようっと」
「ちょっ、ちょっと、待って!英二クンっっっっ」
きゃああぁぁぁ、大石君っ
ごめんなさいっ 私にも英二クンは止められないよ!
「なんだって?」
大石君の顔が引きつっている。
もう私は居た堪れなくて、英二クンの背中に隠れて大石君の青くなっていく顔を見つめていた。
「だからっ。今のところ彼氏ナシ。好きな人は分かんない。教えてくれなかった。
けどさ、大石の髪型は『個性的だと思うけど、別に気にしない』ってさっ!良かったね、大石っ!」
「お前、それを・・・まさか直接聞いたんじゃないだろうな?」
「なに?あったりまえじゃん。本人に聞くのが一番早いし確実だろ?」
ああ、青かった大石君の顔が・・・今度は赤くなってきたよ。
心なし肩が震えているような、目も怒っているような。
「・・・エージ。」
「ん?」
「大きなお世話だっっっ!!」
「ひッ」
大石君の怒鳴り声に、ビックリした英二君が私の体を抱きしめる。
「「ゴメンナサイッ」」
私と英二クン、二人の声がハモっていた。
「大きなお世話」
2005.06.22
戻る テニプリ連載TOPへ 次へ