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2009年、夏のカワセミ 小さなハヤブサ、チョウゲンボウ
「鳥の羽根を科学する」 空の貴婦人、ミサゴ
ノスリあれこれ 2008年白樺峠のタカ渡り
カワセミの子別れ カワセミ流の子育て カワセミに乾杯!!!
大磯のアオバト ハチクマの謎 ツバメの愛の行為 恋の季節
草原のハンター、チュウヒ 北からの使者 自然の壮大なドラマ
紅葉とイヌワシ カワセミ百態 アオバズク
日本の国鳥・キジ 表情豊かなハヤブサ 春来る
ハヤブサの究極の姿 ハヤブサの静から動の変化
写真は順光だけではない!!! ハヤブサの魅力ある姿
カッコウ サギの色々 ノビタキ ハヤブサの光と影
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「2009年、夏のカワセミ」 09'8/4
今年の関東地方の梅雨は明けたはずなのに青空の予報が少なくて、何か変ですね。
毎年、この季節は自宅近所を流れる小川でカワセミを観ています。去年もそうでしたが、ここのカワセミはメス親が全く姿を見せず、オス親のみが子育てをしています。
6月末から雨の日以外は殆ど毎日川に通っていますが、カワセミの魅力に嵌ってしまった顔馴染みの仲間と一緒に、ときには早朝5時ごろから夕方まで熱心に見ています。
カワセミの魅力は美しい姿にあるのでしょうが、それだけでなく毎日何が起きるか分からない生態上の魅力があります。それでは皆さんもカワセミの魅力に嵌ってしまう写真ショウにご案内しましょう。
「鳥の羽根を科学する」 09'2/27
今回は鳥の羽根を取上げてみました。
鳥といっても小鳥は資料がないので飛翔姿を撮影したワシタカが中心ですが・・・・・
野鳥の羽根は各部分に正式な名称が付けられています。野鳥が空を飛べるのは翼のお陰で、そのために主翼、尾翼とも実に巧妙な作りになっています。
飛ぶ機能が他の種より進化したワシタカ類は獲物を獲るための狩りに対応した形になっていて、添付写真にあるハヤブサは空中で獲物を捕らえるためにスピードが出せるために翼の先端が細く尖っていて、急降下で加速するとその翼を畳んで砲弾型の空気抵抗にない形になります。高速飛行に耐えるために体の骨組みは頑丈で、そのためにハヤブサは重くなっています。
大きさはずっと大きなトビと変わらない体重ですから、上昇気流がない日など体力温存のために無駄な飛行はしないで、木や崖で休んでいることが多いです。
トビは逆に体重の割りに大きな翼があるお陰でちょっとした気流の変化を上手く利用して羽ばたくことなく飛ぶことができます。ミサゴも同様で如何にも効率の良さそうな長い翼で重い魚を持って飛ぶことが出来ます。大きな翼は急降下する際には無用なので、ダイビングして魚を捕る時や、高高度から突っ込む時は翼をM字型にして揚力を減らしています。
ノスリは急降下して獲物を襲う時以外は弱い気流でもフワフワと飛べる翼を持っています。ミサゴのように重い魚を持って飛ぶ必要がないので翼も短く、ズングリムックリの形は愛嬌がありますね。
尾羽根は飛行方向を変える重要な役目があり、オオタカのように林の中をぬって狩りをする種は尾羽が長めに、ミサゴのようにダイビングする種は尾羽が短めです。面白いのは尾羽の形が中心と外側では違っていることで、中心部は羽軸から略対称になってるのに外側に行くに従って半対称になっています。また羽軸そのものは中央はまっすぐに、外側は曲がっていて効率良く機能するためだと考えられます。
主翼外側の初列風切り羽根と呼ばれる部分はオオワシ、オジロワシ、イヌワシクラスの大型のものは長さが50cm弱もあり、実物を見ると余りの大きさに驚きます。大きさの割りに軽く出来ていて然も強度があってしなやかなので、こればかりは現代の技術をもってしても人工では真似が出来ない素晴らしいものです。野鳥の翼は換羽といって古い羽根が抜け落ちると新しい羽根が生えてきます。ハヤブサの生態を一年を通して観察しているとメスが抱卵する時期に翼がボロボロになるのを知りました。これはメスが抱卵中は狩りをすることが少なく、給餌はオスに頼るので、実に合理的なタイミングだと感心します。オスの換羽はヒナが巣立った後になります。
「空の貴婦人、ミサゴ」 09'1/24
今回紹介するミサゴは以前にHPの個人の欄でも紹介したことがあります。説明の重複を避けるべく心がけましたが、同じような説明になったら失礼します。
ミサゴはアジア、ヨーロッパ、中東から北米、果てはオーストラリアの海岸、大きな湖に分布するタカの仲間です。
ミサゴは略トビと同じ長さの翼ですが、幅が細長いので見た目には大きく見えます。そのせいか、ドイツではタカより一段大きいワシの仲間として扱われています。
タカの仲間では珍しい魚食なので、水とは縁が深い場所で生息しています。北海道や東北地方で繁殖する個体は冬は暖かい地方に移動することが知られていて、関東地方で冬見られる個体も春になれば姿を消してしまいます。
冬の天気は湿度が低く、何よりも青空が一年中で一番美しいので青空を背景に優雅に飛行するミサゴは正に空の貴婦人といった雰囲気です。
ミサゴの狩りは飛びながら水面近くの魚を探しますが、海が荒れていて水面が見難いときはあっさり狩りを諦めて、他の場所に移動します。
休んでいる木から直接ダイビングして魚を捕ることもあり、添付写真のように片足で2匹のボラを掴む技にはビックリです。
資料によればミサゴの平均体重は1400gから1600gということで、大きなボラはそのくらいはあるでしょうから、略体重と同じ重さの魚を持って飛ぶミサゴは力持ちですね。
獲った魚は頭を前にして運びます。両足でしっかり掴まれた魚はいくら暴れようと身動きできないでしょう。
かって掴んだ魚の頭が後ろになってしまった狩りを見たことがあります。頭が前だと獲物を持って飛ぶ空気抵抗が少なくて済み、食べる際も頭から嘴を入れるので暴れる魚を鎮める点からも都合が良いのですが、魚の頭が後ろになると魚がピンピン暴れて大変そうでした。
通常は空中で魚の前後を持ち直すのですが・・・・・また、ボラなど丸っこい魚は調理し易いと思いますが、干潟でカレイのように平べったい魚を捕ったミサゴは苦労して食べていました。
どうですか、こんなミサゴに興味が沸いてきませんか?
「ノスリあれこれ」 08'12/6
今年も早や12月ですね。皆さんも月日が過ぎるのが早いなと感じておられることでしょう。定年後も野鳥を見るために朝から動き回っていると時間が過ぎるのが早く、前期高齢者を卒業するのもあっという間なのでしょうか?何時まで野鳥とお付き合いが出来るのか気になります。このHPで採り上げた野鳥もかなりのボリュームになったような気がします。根気と時間をかけて物にした写真もあるのですが、ご覧の皆さんはどう思われますか?
さて、今回の主人公はタカの仲間、ノスリです。地方によってはトビの次に良く見られるのでマグソダカとかクソトビなどと酷い呼び方をされています。
実際、北海道ではずらり並んだ電柱に止まって地上のネズミなどを探しているそうですが、トビと決定的に違うのは警戒心が強く、クルマで通り過ぎる場合は平気でも、クルマが止まるか、止まりそうになるとすかさず飛んでしまいます。ノスリはこのように木や電柱に止まって待ち伏せ猟もしますが、空中でホバリングしながら、地上の獲物を探したりします。
良く見るとノスリはタカの仲間にしては優しい温和な顔つきで胴が太く、動きもハヤブサやオオタカのようにシャープではありません。学名をBUTEO
BUTEOと呼ばれるので、鳥仲間でブーチャンという人
もいます。
ところがどっこい、ノスリは動きの少ない獲物「ネズミ、モグラ、からキジ、小鳥の類、ザリガニまで食べます。恐らくサシバのように昆虫も食べているのではないでしょうか?」だけでなく、オオタカが畑でハトを捕ると横合いから飛び出してオオタカの獲物を横取りするしたたかさもあるといいます。ノスリに限らず、タカの成鳥は警戒心が強く、大きく写真に撮れるのは大抵幼鳥です。
成鳥と幼鳥の違いは、目が黒く、翼の後縁に黒いふちがあるのが成鳥で、幼鳥は目が透き通っていて、翼全体が薄い茶色ですっきりしています。空中でよくホバリングをしますが、カメラのファインダーを覗いているとピタット見事に空中停止して感心します。ホバリング状態で獲物を見つけると翼を絞って急降下です。
狩りの際にモグラが地面から顔を出す前にノスリは感知しているらしく、学者がその謎を調べると、ノスリは目で見る前にモグラの出す赤外線が分かるという話です。まさに人にはない超能力ですね。こんなノスリですが、私はブーチャンやマグソダカなどと呼ぶ気がしなく、野鳥と親しくなる切っ掛けが自宅付近で見たノスリのホバリングだったのです。
「2008年白樺峠のタカ渡り」 08'10/8
毎年、9月中旬から始まる秋のタカ渡りを楽しみにしています。
白樺峠のタカ渡りは以前にこのHPでも紹介していますが、これでお終いという気持ちにはなれず、長年にわたる感動のシーンが蓄積されているのでシーズン初めは期待感が高まります。
撮影道具一式15Kgを持って標高1600mの勾配が急な林道を30分近く登るのは楽ではありませんが、体力的にいつまでこんなことが出来るのか不安な年齢になってきました。
白樺峠は観察広場が最近、整地されたせいもあり、年々熱心なバードウォッチャーが増加する一方で、今年の連休にはついにタカの数より人の方が多いという日がありました。
松本盆地から乗鞍高原方向を見ると、左右に障害物のように立ちはだかる北アルプスのような山があり、白樺峠は丁度、V字になって山に邪魔されないでタカが西を目指して渡るルートにあるので、タカだけでなくその他の野鳥が飛んで来るルートにもなっています。
日本には白樺峠以外にタカ渡りを観察するポイントが幾つもあって、全国ネットワークでその日の渡り情報が分かるようになりました。サシバは日本本土から沖縄、台湾方向に渡ることが知られ、最近では台湾もネットワークに参加するようになったので渡りの謎が次第に解明され、益々タカ渡りが身近な楽しみになりました。
白樺峠の魅力はハチクマ成鳥が身近で見られることです。この森林性のタカはハチを好んで食べるという習性があり、オス、メスの個体差が顕著で、体の色も千差万別でこのHPで紹介するハチクマも同じような個体がないのがお分かりでしょうか?
ハチクマの渡るルートは近年、GPSラジオをタカに背負わせて人工衛星からの信号を追跡することにより世界で初めて解明されましたが、まだまだ詳しいデータの蓄積が欲しいところです。野鳥観察は以前、双眼鏡さえあれば出来る経済的な分野だったのが研究が進むと、人工衛星の通信費だけで年間数千万円の経費がかかるようになったと東大の先生が嘆いておられました。
10月後半からはハイタカ族の渡りが始まります。それまで一服しましょうか。
「カワセミの子別れ」 08'8/25
8月も後半になると季節の変わり目のような雨が降り、涼しい日が続きます。今年の夏も自宅近所のカワセミの観察に熱中しました。自然の生き物は毎日が筋書きのないドラマのようで、カワセミは去年にはない興味ある生態を見せてくれました。狭い川には今年の春に巣立った一番子と夏に巣立った二番子、それに父親を含めて5羽のカワセミが現れ、写真を撮っているときは大いに慌てました。長い望遠レンズでは同時に2羽をファインダーに入れるのがやっとで、激しい縄張り争いなどは見ているだけで悔しい思いでした。
父親の子供教育も印象的で一番子には厳しく、二番子の最後に巣立った幼鳥には甘い場面が見られました。そんな子供達も今では全員が魚やザリガニを捕れるようになり、このまま親と同居できないので、父親は機会ある毎に追い出しにかかり、ついに子供達の姿を見せることが少なくなりました。全く、姿を消したわけではありませんが、親の追い出しが激しいので何れは子供の縄張りを見つけて居なくなるのでしょう。
子だくさんのカワセミですが、一羽で生き残れるのは何羽でしょうか?逞しく生き残ったチビカワセミのみが次の世代を引き継ぐのです。カワセミが可愛い、綺麗といった見方は人の一方的な思いかもしれません。
「カワセミ流の子育て」 08'8/13
父親に育てられたチビカワセミも巣立ち後、あっという間に自分で獲物が捕れるようになりました。このフィールドには春に巣立った一番子とこの夏に巣立った二番子が計4羽いるのですが、二番子は体の色が鮮やかではなく、足の色が黒ずんでいるので識別は容易です。
それは兎も角、父親は巣立った若鳥が自分で狩りが出来るのが分かると、給餌をしなくなりました。いつまでも子供を甘やかさないのですね。親が偶々ザリガニを捕ると、幼鳥は獲物欲しさに口を明けて接近してきます。父親は一見すると給餌をするような形で幼鳥の口にザリガニを差し込むのですが、決して離しません。たまらず、幼鳥が獲物を奪い取ろうとすると、何と!縄張り争いのように親子の口が絡んだまま止まり木から落下したのです。カワセミは一般的には綺麗、可愛いというイメージですが、こんな激しい一面があるのですね。
更に、一番子は二番子よりもっと狩りが上手なので親の縄張りから追い出す行動が激しいのです。親が幼鳥を見た瞬間に一番子か二番子かを判断するのですから驚きです。かくして子育てを無事に終えた父親カワセミは見るも無残なくらい羽根がボロボロになり、本当に換羽して元の姿に戻るのか疑問なくらいです。元の姿に戻るまで心配で観察は止められません。
暑い毎日ですが、カワセミの興味ある行動を観察していると暑さも忘れます。
「カワセミに乾杯!!!」 08'8/1
今年も猛暑の夏ですが、皆様お変わりありませんか?去年にひき続き、この夏も自宅近所の川でカワセミを観察しています。野生の生き物は観察すればするほど、魅力ある行動に引き込まれます。殆ど毎日、早朝から昼前まで午前中の観察をして昼食後はまた川に戻り、夕方まで観察しています。カワセミは今が二番子の繁殖の時期。今年の春に一番子を育てて、二度目の繁殖という訳です。ヒナが何羽生まれたのか把握していませんが、通常は3羽から4羽のヒナが誕生するので、カワセミは多産ですね。
どういう訳か分かりませんが、ここのカワセミはお父さんしか姿を見せず、お母さんは大事な子育てはしないのでしょうか?最近まで、お父さんはヒナのために初めはヨシノボリのような小魚を捕っていましたが、巣立ちが近くなるとカワセミのサイズにしては大きなオイカワを捕っては盛んに巣に運んでいました。
魚を自分で食べる時は頭の先を自分の方に向けますが、相手に渡す際は頭を口先にしています。但し、ザリガニのように先端が刺々しい獲物を相手に与える際はのどの引っかからないよう尻尾を先にするのです。カワセミの知恵ですね。
それにしてもヒナが巣立つまでのお父さんの活躍ぶりは目を見張ります。朝は4時過ぎから行動開始し、夕方暗くなる前にやっと長い一日が終わります。一日中、獲物を探しているので、野鳥のとっては大切な体の手入れが充分ではないらしく、水から上がってきた際の水切りが悪く、体がずぶ濡れのようです。通常は体から出る脂を羽根にぬるので水切りが良いのですが、お父さんカワセミの姿を見ると生活やつれが出ています。巣立った幼鳥達が自分で獲物が捕れるようになるのは秋になってからでしょうか?
その後は来年の繁殖期までのんびり出来るはずですが、そんなカワセミの寿命は2年くらい?といいますから、大変ですね。
「大磯のアオバト」 08'7/14
アオバトは普段見慣れるドバトより小型で、キジバトよりは少し大きなハトです。山に生息しているのでアオバトの姿に接する機会は少ないでしょうが、一度その姿を目にすれば忘れることはないくらい美しいハトです。アオバトといっても体色は緑で、オスの翼上面にはワインレッドの斑点が見られます。英名がJapanese Green Pigeonとなっているのでこちらの呼び方が色を表わしています。
このHPで紹介している野鳥は撮影場所を特記していません。猛禽類など絶滅危惧種に指定されている種は場所をオープンにするといろいろ弊害が予想されるからですが、アオバトはその点、場所を公開しても問題ないでしょう。アオバトが春から秋にかけて山から群れでやってきて、海水を飲むのは全国的に知られていて、大磯の照が崎海岸は天然記念物にも指定されている有名なところです。
何故?アオバトが海水を飲むのか??謎でしたが、「野鳥の会の会報」によれば、最近、保護された2羽のアオバトに食事の合間に海水と普通の水を飲ませたところ、排水に著しい違いが見られ、エサの差に原因があるのが謎を解く鍵らしいということが分かってきました。海水を飲ませたアオバトには山で食べている木の実を与え、普通の水を与えたハトには人工のエサを与えたところ、海水を飲んだハトの方が排泄が少ないので、体内の水分を保持する効果がナトリウムを含んだ海水にあるということです。冬の間は海水を飲みに山から飛来することはないので、冬になれば木の実が採取できないので他のものを食べているのでしょう。
大磯の岩礁は只の岩ではなく小さな穴がいくつもあるので、海水がその穴に残っていて飲み安いというのが、何故?大磯に集団で飛来するかという答えのようです。海水を飲むのに集中して、偶に、大波が押し寄せると全身びしょ濡れになることがありますが、巷でいわれているように、そのためにアオバトが溺れ死ぬのではなく、海水の圧力で岩に叩きつけられて命を落とすというのが事実だと思います。時々、岩に降りないで海面上空でホバリングして尾羽を海水に浸す行動が見られますが、この謎を解くのはこれからの課題です。
「ハチクマの謎」 08'7/4
ハチクマは春になると東南アジア方面から日本に戻り、繁殖活動を終えると秋には越冬地である東南アジアに渡るタカの一種です。
日本では低山帯の森を営巣地にしているので都市部では渡りの季節以外は馴染みのないタカです。ハチクマという和名はクマタカ「大型のタカで深山幽谷に生息しています」に似たハチを好むタカという訳で、英名もHoney Buzzzardとなっています。ハチクマはミツバチを飼っている養蜂場にやってきてハチを食べることがある、という話は聞いたことがありますが、実際に見たことはありませんでした。ハチといっても好物はジバチなのですが、今回、目にしたのはミツバチです。
あたかも養蜂場所を知っているかのごとく、上空から降下して人がいなのを確認後にまるでニワトリがエサを食べるように頭を上下させてハチを食べていました。当然、ハチは針を立てて攻撃するでしょうが、ハチクマは平然としています。どうやってハチの攻撃から体を守っているのか謎です。
ハチクマはオス、メスの特徴がハッキリしていて、体色の個体差もあって観察する際の重要なポイントになります。尾羽に太くて黒いバンドがあるのがオス、メスは細かいバンドが数本あります。虹彩の色もオスは黒く、メスは黄色なので近くでみれば間違うことはありません。
秋の渡りの季節になると翼がボロボロの個体が飛んでくることがありますが、翼の左右対称部分の羽根が欠けているのは換羽しているからで新しい羽根が生えるまでの辛抱です。ハヤブサの例だとメスが産卵して抱卵中に換羽が始まり、オスはヒナが巣立った後に換羽するので自然界はあくまで合理的です。説明を付け加えると、抱卵はメスの役目でその間の狩りはメスの分までオスが行い、ヒナが巣立つとメスも狩りをするようになり、綺麗な翼で効率よく飛行できるという訳です。
今年も9月中旬頃から秋の渡りが始まるでしょう。ハチクマの繁殖は遅く、ヒナが誕生するのはこれからです。巣立ち後、一ヶ月ちょっとで数千キロを渡る能力も謎です。梅雨が明けると高原の空を飛んで渡りに備えるのでしょうか。その日が楽しみです。
「ツバメの愛の行為」 08'5/13
我が家から歩いて10分足らずの所に小川が流れていて、その川で見られるカワセミは以前に紹介しました。去年の夏は暑いせいもあり連日、涼しい川端に通いましたが、この春、久し振りに行ってみるとカワセミの個体が代わっていました。今回のカワセミと以前に紹介した個体を良く見てください。違いが分かります。カワセミは縄張りを持っていて辛抱強く待っていれば決まった止まり木にやってきます。止まり木からダイビングして小魚を捕ることもありますが、休憩したり、羽繕いをしたり、のんびりすることもあり、そんな時は夢中でシャッターを押してしまいます。このカワセミの止まり木に何と!ツバメが止まり、何と!何と!!交尾が見られました。ツバメは普段飛んでいることが多く、カワセミの止まり木に止まることも珍しいのですが、2羽のツバメが木に接近した時はひょっとして?ひょっとする??のではないか???と思いましたが、その通りになり驚きました。珍しいですね。
「恋の季節」 08'5/2
「草原のハンター、チュウヒ」 08'2/27
寒い毎日ですが、2月も後半になると日差しが暖かく、何となく春の空気が感じられるようになりました。
これからは三寒四温で春になって行くのでしょうね。
今回、紹介するのは草原のハンターとでも言うべきタカの仲間である「チュウヒ」です。チュウヒというタカは名前は勿論、その姿を見たことがある人は少ないのではないでしょうか?
鳥類語源辞典によれば、中くらいの高さを飛ぶので、「チュウヒ」と呼ばれると記載されています。実際にチュウヒが飛んでいるのはアシ原をスレスレに飛ぶこことが多いので、ノスリを取り違えているという説もあり、ごもっともです。ノスリの語源は野をスレスレに飛ぶからというのですが、語源なんて結構いい加減ですね。
チュウヒは干拓地のヨシ原、干潟、広大な埋立地などを低空で飛んで獲物を探します。体の個体識別は千差万別でトビのようなものから、茶色の濃い、薄い、果てはハイイロチュウヒのように翼が灰色のものまで多種に富んでいます。通常は浅いV字型の翼をヒラヒラさせながら顔を下に向けて地上を見ながら飛んでいます。大型の鳥は翼を羽ばたくことなく上昇気流を巧みに捉えてソアリングするのが得意ですが、チュウヒはさしてサーマルが利用できない低空でちょっとした気流を巧みに捉えて羽ばたきをすることなく長時間飛んでいます。チュウヒは敏捷な動きで狩りをするタイプではないので、獲物は地上にいるネズミ類、動きの悪い野鳥が主ですが、先日、魚を捕まえたシーンを撮影することが出来ました。鳥仲間に写真を見せたところ、初めて見たという答えが多かったので、あまり知られていないシーンです。
タカの仲間は殆どが絶滅危惧種に指定されていますが、このチュウヒはその意味ではもっと注目されて良いと思います。まず、繁殖環境が上記のような場所なので、北海道や東北の一部で知られている以外少なく、環境の変化によっては増える可能性がほとんど絶望的なのです。湿地保護のためのラムサール条約に指定しているような場所がチュウヒの生息に向いていますが、そんな環境は少なく、チュウヒはタカの仲間では珍しく、外敵の影響を受けない地上に巣を構えるので、人にとっては経済価値のない広大なヨシ原が必要で、国内産のチュウヒはこれから減少する一方なのです。
野鳥撮影を始めた頃、チュウヒは低空をゆっくり飛んでいるので、簡単に撮れるだろうと思っていましたが、実際は飛びながら人の姿を見つけると警戒心が強いのでいつの間にか方向を変えてしまい、良い写真が撮れませんでした。コツはクルマの陰などで姿が見えないようにしてじっとしていると、案外、側まで飛んでくるのを発見して以来、表情を捉える事が出来るようになりました。トビとの違いが分かるようにジックリ写真をご覧ください。
「北からの使者」 08'2/1
2008年の年が明けて、今のシーズは湿度が低く、青空が一年で一番綺麗なので野鳥撮影には最も適しています。その代償として寒さ対策を充分にしていないと厳しい季節でもあります。親しい方から地球温暖化が野鳥の生態に影響しているか教えて欲しいと言われますが、一年の殆どを野鳥観察に費やしていても実際のところ、簡単に結論が出ません。実態に理屈をこじつければ何とでもいえますが、正直いってそんなに簡単に答えが出ません。地球の環境はジワジワット変化しているのでしょうか?
猛禽類を主体とした野鳥歴がウン十年になりますが、今年は年明けから初めての体験です。主人公は 【ケアシノスリ】 というシベリア極地からの訪問客です。日本にはノスリという普通種の仲間が繁殖していて、地方によってはトビよりも普通に見られるので、方言で「馬糞ダカ」とも呼ばれています。さすがに今は地方でも馬糞を見ることが少なくなりましたが、ノスリは珍しいタカという訳ではありません。
今回紹介する【ケアシノスリ】は日本では繁殖していないノスリの仲間で、フィールドガイドによれば、数少ない冬鳥として渡来すると記述されています。言わば、珍鳥という訳です。大きさは日本のノスリより少し大きく、何よりも翼が白いのが特徴です。他に識別ポイントとして尾羽に黒いバンドがあり、大陸育ちのせいか、警戒心がなく、日本産のノスリに比べておっとりしています。繁殖地のシベリア極地では人の影響もないでしょうから、のんびりしているのでしょう。参考までに日本のノスリも載せました。よく眺めると違いがよく分かります。そんなノスリは警戒心が強く、北海道などでは冬の季節、電柱毎に止まって畑のネズミなどを狙っていても、クルマが止まっただけで飛んで逃げるくらいです。珍鳥ケアシノスリは日本で越冬中にたっぷり食事をして元気に極地に戻ってもらいたいですね。願わくは来年も姿を見せて欲しいですね。
「自然の壮大なドラマ」 07'12/22
毎年、秋の後半になるとヒヨドリの群れが海上を渡るのが観察できると、いうのは以前に紹介しました。この季節は北海道や東北地方が冷え込み、エサが取れなくなる小鳥たちは暖かい地方に移動すると考えられるのですが、少数の群れが幾つか合流する内に一つの群れが1000羽以上の大群に成長するようです。彼らはどこまで飛んでゆくのでしょうか?タカのように発信機を付けて放鳥すれば実態が分かるのでしょうが、今の技術ではヒヨドリに背負わせるような超軽量ラジオはなく、想像の範囲でせいぜい九州辺りかな?と思います。
2007年は例年のように10月下旬からヒヨドリの大群が飛び始めましたが、長続きしなく、11月になると殆ど群れは通過しなくなりました。この現象をもってヒヨドリが減ったと考えるのではなく、コースが海上ではなく陸上コースをとった可能性もあります。ヒヨドリの大群は陸上にいる間はハヤブサに襲われる心配もなく、木の間でピーピー鳴いています。意を決して一旦、海上に飛び出しても一羽が怖さのあまり、すぐ陸地に戻ると、他の仲間も一気に追従します。今年はヒヨドリの大群が迷いに迷って渦が出来たのを写真に撮ることができました。まるで羽音が聞こえてきそうです。
望遠レンズで撮った写真は群れの一部に過ぎません。こんなシーンを実際に目にすると、自然の壮大な姿に感嘆してしまいます。海上に飛び出した群れは、ハヤブサの攻撃を避けるために海面スレスレまで急降下し、群れが離れ離れにならないように黒い塊となってヒヨドリ独特の波状で飛びます。ハヤブサは障害物の多い陸上では、スピードにものを言わせた狩りが出来ないので、海上に飛び出したヒヨドリは絶好の獲物です。上空から急降下で加速したハヤブサは群れに襲い掛かります。群れが一つの塊のままで崩れないときは狩りは失敗に終わります。一羽にターゲットを絞ることによって狩りができるのです。一度目の急降下で狩りが成功することは少なく、ハヤブサは群れから離れた一羽を狙って数度、上昇反転を繰り返しますが、スタミナ切れで狩りを諦めて陸地に戻ることはよくあります。運よく、狩りが成功しても全力を尽くしたハヤブサは口を空け、舌をだして苦しそうです。一羽の仲間を失ったヒヨドリの大群は何事もなかったように密集した群れの状態で海上を飛んでゆきます。
どうですか?ご覧の皆さんも自然のドラマに感動されたでしょうか?
「紅葉とイヌワシ」 07'11/20
今回の写真は簡単には見る事が出来ない種です。絵画は真っ白なキャンバスにジックリ絵の具を書き込む作業で、鑑賞する人もジックリ眺めるのが普通ですが、写真は見た時の一瞬で印象が決まってしまいます。
写真といってもコンパクトカメラで人物や風景を撮るスナップ写真から、4×5「シノゴ」といってフイルムの大きさが10cm近くある大判カメラで撮った風景写真など「写真」というカテゴリーでは、見る人にとって同じ写真にみえるかもしれません。
野鳥の写真のように一瞬のチャンスを狙って機関銃のように一秒間に10カット連写できるカメラでは一日に1000枚以上撮る事もあります。そんな大量な写真の中からイメージどうりのカットを探し出すのは大変ですが、苦労多ければ楽しみも倍増です。
前だしでこんなに勿体付けるのは苦労して撮った写真を一瞬の印象だけに終わって欲しくないからなのですが、分かって頂ければ嬉しいですね。
これからが、本題です。イヌワシは国の天然記念物で数が少なく、絶滅危惧種の中でもランクの高い種です。
中央アジアのように平原に生息するイヌワシと違い、わが国では巣棚に適した崖がある、人里から離れた山間部でしか見る事ができません。
イヌワシを見るために訪れた場所は遠景に日本海が見える標高1000m弱の峠で、晩秋の紅葉を背景に飛行するイヌワシが狙いです。
訪れた日は生憎、日本海からの雲が押し寄せ、ガスがかかっていてイヌワシの飛行は勿論、紅葉さえ見る事ができません。昼過ぎまで粘りましたが、ガスが取れず諦めて峠を降りました。翌日も天気予報は晴れなのに峠は又してもガスです。寒さでウトウトしていると昼前にやっとガスが薄くなり、目を凝らすと遠くに見事な紅葉が見えるではありませんか!待つ事、数時間。ガスがなくなり、遥か遠方の山合いに待望のイヌワシが上昇気流を求めてソアリングしているではありませんか!!それもペアで!!!この瞬間、今までの苦労が報われました。
あるプロの写真家はイヌワシの写真を撮るために一ヶ月もキャンプ生活をしたそうで、イメージどうりの写真を撮るには苦労します。
イヌワシは広大な縄張りを持っているので、撮影出来たのはほんの数分だけ、、それでも紅葉を背景に悠然と飛ぶイヌワシには満足して下山しました。
「カワセミ百態」 07'9/29
カワセミシリーズが続いたので、今回の写真で終わりたいと思います。
もっとカワセミの生態が知りたいという要望があればまだまだ紹介したい事柄がありますが・・・・・・・
この夏は殆どの時間をカワセミの観察に費やしました。一種類の野鳥を観察していると思いがけないシーンに出くわすものです。
今回紹介するカワセミの生態は夏だけのものですが、一年を通して観察すればもっと興味深いデータが得られるでしょう。
カワセミが気に入った止まる場所はいくつかあり、縄張り内に他の個体が来ると、追い出しにかかります。
通常は縄張りを持った個体が鬼ごっこをしているように、よそ者を追い出しますが、先日、激しいバトルを見る事ができました。
撮影場所から50mほど離れた茂みで2羽のカワセミが争っています。何と、くちばしが絡み合ったまま水中に落下し、ついに水没してしまいました。暫くしてよそ者のカワセミが逃げ出したので事なきを得ましたが、怪我をしたのではないか?と心配したほど激しいバトルでした。
気に入った枝で魚を探す時以外、普段はノンビリしているカワセミは体がふっくらして顔つきもリラックスしているのが分かります。
そんなカワセミも狩りの瞬間や、上空にタカなどの天敵が現れた時は一瞬体が細くなり緊張状態になります。
まるで別個体のようで、川縁を散歩している通行人が「今日のカワセミは太ったネ!」とか「痩せたネ!!」とか、勝手なことを言っていますが、実際はカワセミの心理状態で太くも細くもなるのです。
添付写真をよく見ると目つきも場面によって違うのがお分かりでしょう?カワセミは色鮮やかでどの個体も同じように見えるかもしれませんが、詳しく観察すればちょっとした違いで識別できます。
例えば足の色を見てください。色鮮やかな個体とくすんだ色で別個体というのが分かります。
カワセミの行動を正確に観察するにはまず個体識別から始まります。
「アオバズク」 07'9/6
「日本の国鳥・キジ」 07'5/2
5月になって春の連休シーズン真っ盛りです。北海道などは今がサクラの開花ですから、南北に長い日本ならではですね。さて連休が終わった5月10日からは愛鳥週間、所謂、バードウイークが始まります。小鳥たちの繁殖期にあたるこの時期に野鳥を愛する気持ちを確認しましょう、という趣旨で始まった愛鳥週間に一般の人はどの位意識を新たにするのでしょうか?
野鳥の会ではこの季節には「野鳥のヒナを見つけても拾わないで!!」というキャンペーンをしています。これは、繁殖期にヒナが巣から落下しても親が何所かで見ていることがあるので、ヒトが可愛いからといってヒナを拾わないでくださいというものです。ヒトが居なくなれば親が飛んできてヒナに給餌するので、ヒトが触ったヒナは親から見離されるというケースもあり得るという話です。
今回、愛鳥週間前に日本の国鳥である「キジ」を取り上げてみました。日本の国鳥が「キジ」だということは皆さんご存知でしょう。この経緯は、2次大戦終了後に、時のGHQの野生動物担当であったアメリカの鳥類学者オースチン博士の、「戦後殺伐とした日本も国のシンボルである国鳥を決めたらどうか?」という勧告に従い、日本の識者たちが相談した結果決まったことなのです。
その理由は、キジのオスは姿美しく、メスを引き連れて縄張りを守る姿は国鳥に相応しい、メスは地味な姿ながら身を挺して子を守るなどなど、如何にもといった理由があったそうです。実際、何年か前に、田んぼのあぜ道で抱卵中のキジの巣を見つけたことがありますが、興味があって数メートルまで近ずいてもメス親は逃げ出さなかったのに感動した記憶があります。今思えばキジには悪いことをしたなと思いますが、その巣はカラスにタマゴを食べられてしまい、結局放棄しました。
表向きの選定理由はごもっともなのですが、インターネットで調べてみるととんでもない記事がありました。曰く、キジを国鳥に選んだ理由は狩猟鳥として最適だとか肉が美味というものです。国鳥を狩猟対象にしている唯一の国がわが日本とは!!!!猟友会では養殖して育てたキジを野山に放鳥するということです。
こんな嘆かわしい話はこれまでにして、キジの写真をご覧ください。オスはこの季節に縄張り宣言するためにドラミングといって翼をバタバタさせながら鳴きます。飛ぶのが苦手なので危険を感じると身を低くして早足で歩きますが、最後の手段として低空を羽ばたいて飛ぶことがあります。いつかはこの飛行シーンを撮影したいものです。
「表情豊かなハヤブサ」 07'4/22
ハヤブサの行動を通年観察していると実に表情豊かなことに気がつきます。
今回の写真はほんの一例ですが、真剣な時は目に力が満ち溢れ、リラックスしているときは優しい目に、狩りに失敗して戻ってきた時は恥ずかしい表情になり、縄張りによその個体が侵入してきたときなど激しく鳴いて、怒ったような顔つきになります。ヒトは顔の筋肉を動かすことによって表情を表わしますが、ハヤブサのように目が大きなトリは目の表情だけで感情表現が出来るのでしょうか?
「ハヤブサの究極の姿」 (写真下)
ハヤブサの写真をHPに載せてきましたが、今回のスピードあふれる飛翔姿は最も魅力あるのではないでしょうか?上空をパトロールして下に獲物を見つけると、初めは羽ばたきでスピードをつけて加速し、ある程度スピードが出ると翼をたたんで砲弾型になって落下します。このときに抵抗の少ないハヤブサの体形が生かされグングン加速します。
こんなシーンを写真に撮るのが腕の見せ所なのですが、秘訣は出来るだけ上空高く飛んでいる状態からカメラのファインダーに入れて後は動体視力を鍛えることです。落下を始めてからファインダーに入れるのではチャンスを逸してしまうでしょう。三脚にカメラを載せているとまず、被写体を追えないので重い望遠レンズを手で持つ必要があります。こうして何とか撮った写真をご覧ください。
「ハヤブサの静から動の変化」 (写真下)
2007年の新年を迎えて何時ものハヤブサの話題ですが、行動を絞ってみました。
野生動物の行動は周年観察していると、ちょっとした鳴き声や表情で何をしようとしているのか分かるようになります。よその個体が縄張りに侵入すると激しくチョン、チョンと鳴き、食事中にトビが上空を飛んで獲物を横取りしようと狙っている時はキィーキィーと警戒音をだします。ハヤブサ同士の縄張り争いは営巣時期によその個体が侵入すると激しく鳴きながら地の個体が追い出しにかかります。それでも逃げださない時は体当たりをして相手の足をつかみ2羽が絡み合ったまま地上に落下することもあります。
残念ながら、こんなシーンは写真に撮ったことがありません。シャッターを押す前に、つい目でみてしまうから写真に撮れないのです。ハヤブサはトビに対しては常に強い立場にありますが、狩りをして獲物を持って飛ぶときや、食事中は無防備で攻撃ができないので、したたかなトビは隙をみて獲物を横取りすることがよくあります。獲物を横取りされて怒ったハヤブサが空中トビ蹴りでトビを墜落死させたこともあります。翼長では遥かに大きなトビが体の小さなハヤブサに落とされるのですから、ハヤブサのパワーは相当なものです。
今回はそんなハヤブサの力強さを象徴する写真を紹介しましょう。
ハヤブサが飛ぶ直前の表情は良く見ていると、緊張で体が締まり、目つきが鋭くなります。飛び出す場所によって羽ばたきが違い、興味が尽きません。高い場所から風を受けて飛ぶ際は羽ばたきなしでファっと飛び出し、獲物を見つけて見張りの木から飛び出す際は力強い羽ばたきで全速力で発進します。狭い場所から飛び出す際は翼が崖に当たらないように非対称の羽ばたきになります。こんな事を念頭に写真をご覧ください。ハヤブサの表情が理解できれば一人前のホークウィッチャーです。
「写真は順光だけではない!!!」 (ハヤブサ)
最近のカメラはオートフォーカスが進歩したので、動く被写体でも正面から時速50キロ程度で接近してもピント合わせは動体予測モードが働いて、以前のようにヒトがファインダーを必死に覗いてピントを送るより遥かにピントが合う確率が高いといいますが、実際はどっこいどんなに機材が進歩しても苦手なシーンがあるものです。今回載せた写真はカメラのピントや露出のオートモードを駆使しても苦手な場面なのです。この話が理解できる方はこの写真の価値が分かるでしょう。
4枚のハヤブサはオスとメスが2枚ずつで、「 ちゃん 」と「 君 」 で表わしています。 よく見ると体格の大きさや顔つきが違うのが分かるでしょう。 メスの方が大きくてオスは小型でも精悍な顔つきをしています。
ハヤブサ百態
ノビタキは春に東南アジアから渡ってきて、本州では高原で、北海道では平地の草原で繁殖し、秋には又、東南アジアに戻ってゆきます。
野鳥は人とは違って?オスの方が外観が美しい色をしていてメスの関心を引く種が多いが、このノビタキもご覧のように、オスは頭が黒、白い胸には美しいオレンジ色の配色があるお洒落な鳥です。
メスは申し訳程度の地味な色で、草原にいても見つけるのが難しい。草原でノビタキが鳴いているのを見つけると辛抱強く観察していると、気に入った決まった止まり木があるのが分かります。
光線を考慮して三脚の位置を決め、待っているとノビタキはやってきますが、場所探しに夢中になってノビタキの営巣場所を邪魔しない配慮が大切です。
この写真は長野県の富士見高原で梅雨に入る前に撮ったものです。この時期には草原にカッコウ(下図参照)も飛来しており、都会では味わえないのどかな雰囲気での撮影でした。
繁殖期には美しい色のオスのノビタキも秋の渡りの季節にはメスと殆ど見分けが付かないくらいの地味な色に変わります。
もうメスの気を引く必要がなくなったとでも言う事でしょうか?
カッコウの鳴き声はおそらく殆どの方が聞いたことがあると思いますが、その姿を目にした方は少ないのではないでしょうか?
実際、夏に高原などでカッコウ、カッコウ、と鳴いていても人が近ずくと飛んで逃げてしまいます。
警戒心が強い鳥ですが、草むらでじっとしていると案外側に飛んできます。
カッコウの仲間は他にはホトトギス、ジュウイチ、ツツドリなどが知られていてそれぞれ住む環境が異なっています。ホトトギスは今の季節だったら住宅地の側にあるちょっとした雑木林で鳴き声が聞かれるでしょう。
カッコウの仲間は小鳥など他の巣に卵を産んでヒナを育ててもらう面白い習性があります。
何故?進化の過程で自分で子育てを放棄したのか、疑問です。
研究者にとっては興味ある種ですが、誰も謎を解く人はいません。
憎いことにカッコウの生まれたばかりのヒナは、托卵した小鳥のヒナより早く生まれ、小鳥の卵を巣の外に突き落とすのです。親も子供もオヤオヤといった感じで呆れてしまいます。
一説にはカッコウは飛んでいる姿が一見すると小型のタカに見えるので、托卵相手の小鳥を驚かす効果があるというのです。熱心なバードウォチャーにかかるとそんな誤魔化しは通用しませんがね。カッコウの足は細くて、タカの特徴でもある太い強力な足には程遠い。
偽者を見破るには落ち着いて相手を見ることが大事だという我々、人間の教訓にもなります。