目明し編(10)

 やはり詩音は少年野球チームに入り浸るようになっていた。

 雛見沢ファイターズ監督、入江先生お久しぶりです。
 今回は死亡しないよう、お祈りいたします。

 詩音はいまだに魅音を装っており、自分を詩音だとは名乗ってはいない。
 このままでは悟史が失踪するまで、ずっと「魅音」のままかもしれない。

 そいつは悲しい事ですな。
 好きな相手に自分の本当の名前すら伝えられないなんてねぇ。

 …っておや、こっぱずかしいこと語ってるよ。
 上記の発言は忘れるようお願いいたします。

 詩音はイリーからマネージャー扱いされている。

 うーむ。
 1年後、イリーは彼女が詩音である事を認識しているんだよな。
 そこから考えると、この後に詩音が詩音のままである事を許される出来事が発生したんでしょうなぁ。



 イリーが悟史の打率は3割だと遠まわしに語った。

 あれ?
 それでは、悟史は「下手の横好き」ではないな。
 ただ、ここ1番で打てないだけらしい。

 それなら、むしろKの方が野球下手かもしれん。

 いいとこなしだぞ、K!

俺、何してるんだ?


 イリーとの会話内容が悟史の境遇の話に移ってきた。

 雛見沢ファイターズに悟史を誘ったのはイリーだという。

 叔父に引き取られて間もない頃、悟史はストレスで大分まいっていたようだ。
 その原因の主となるのは沙都子。

 …。
 この話をもし「祟殺し」編の圭一が聞いていたら…。
 いや、聞いていても変わりはなかったかな。

 過去は過去。
 あの時の沙都子が苦しんでいたのは間違いない。
 そして、その苦しみから救ってあげたいと圭一が願う事にも変わりはないだろう。

 しかし、ワシ個人としては沙都子を今まで通りには見られないな。

 自分の行為で人1人追い詰める、しかもその人は自分の兄。
 もう少し考えた行動をしてほしかった。

 しかし、しかしだ。
 よく考えると1番悪いのは男をとっかえひっかえの北条母ちゃんか?
 でも、北条母ちゃんだって幸せになりたいだろうし。

 北条母ちゃん、頼むから男を見る目を養ってくださいよ。
 (今となってはもう遅いけど)



 モノローグを読む限り、詩音は沙都子嫌いなんだな。
 詩音の立場からするとそうなるんでしょうね。

 沙都子が嫌い…それを考えると「綿流し」編のある出来事に疑念がわく。
 梨花ちゃん・沙都子との連絡がつかなくなり、圭一が家の中を覗こうと梯子をのぼった、あの時。
 沙都子に対して悪態をついた魅音は実は詩音だったのではないだろうか?



 疲れるから野球チームを抜けたいともらす悟史。
 でも、チームを抜けたい本当の理由は沙都子。

 叔母にいじめられる沙都子を守るためとイリーは推測していた。

 …沙都子、頼むから自分の足で立ってくれ。

 沙都子は、詩音から依存度が高いと評された魅音より他人にもたれかかっている。

 似たような意見を詩音も持ったらしく、その意見をそれとなくイリーに語る。
 だが、その冷たい意見を聞いたイリーは目の前にいる「魅音」に疑問を持った。

 詩音、素に戻りすぎだ。



 その後の詩音のモノローグが切ない。

 そうなんだよなぁ。
 詩音にとって、悟史との接点はこの野球チームしかない。
 それすら「沙都子」という、悟史にもたれかかる妹のために奪われようとしている。

 詩音が沙都子を多少憎んでしまっても仕方ないのかもしれない。

前へ  次へ

戻る